『フェイブルマンズ』はスティーヴン・スピルバーグの思いのこもった、心に沁みる家族のドラマ。

 2019年末より世界を覆ったコロナ禍は、下火になったとはいえ現在まで続き、私たち人間の行動、心の在り様にも大きな影響を与えた。  最初は何も分からぬ業病として恐怖に苛まれ、多くの社会的な規制に従うしかなかった。なにより … 続きを読む 『フェイブルマンズ』はスティーヴン・スピルバーグの思いのこもった、心に沁みる家族のドラマ。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』はマルチバースとカンフーで紡ぐ、圧巻の傑作!

 アメリカ映画界のなかで、現在、もっとも際立った動きを見せているのはA24である。この映画配給・製作会社は2012年に設立以降、オリジナリティに溢れた、個性的な作品をいくつも送り出してきた。頭に浮かんだタイトルを並べるだ … 続きを読む 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』はマルチバースとカンフーで紡ぐ、圧巻の傑作!

『エンパイア・オブ・ライト』は1980年の英国を舞台にした、映画館にまつわる愛の物語。

 サム・メンデスの新作の登場である。  ふり返れば、メンデスは演劇の世界で名を馳せ、劇場用映画に進出した1999年の映画監督デビュー作『アメリカン・ビューティー』はセンセーションを巻き起こした。その年のアカデミー賞で、作 … 続きを読む 『エンパイア・オブ・ライト』は1980年の英国を舞台にした、映画館にまつわる愛の物語。

『別れる決心』は鬼才パク・チャヌクが送り出すスリリングなミステリー・ロマンス!

 パク・チャヌクという名を意識したのは2000年の『JSA』だった。  日本でも大ヒットした『シュリ』を凌ぐヒットを本国で飾ったことが喧伝され、監督の名にも注目が集まったのだ。『JSA』は南北分断の象徴、38度線上の共同 … 続きを読む 『別れる決心』は鬼才パク・チャヌクが送り出すスリリングなミステリー・ロマンス!

『すべてうまくいきますように』はフランソワ・オゾンとソフィー・マルソーの顔合わせが嬉しい人間喜劇。

 フランソワ・オゾンはコンスタントに作品を送り出す、フランス映画界屈指の存在である。しかも新作を発表するたびに多彩な題材、アプローチを駆使し、見る者を惹きつけて止まない。  2000年の『焼け石に水』から、『まぼろし』( … 続きを読む 『すべてうまくいきますように』はフランソワ・オゾンとソフィー・マルソーの顔合わせが嬉しい人間喜劇。

『イニシェリン島の精霊』は落語のような展開の、寓意性に富んだ傑作コメディ!

 去る1月11日(日本時間)に開催されたゴールデン・グローヴ賞授賞式で、ミュージカル・コメディ部門の作品賞、主演男優賞、最優秀脚本賞に輝いた作品の登場である。  脚本と監督を務めたマーティン・マクドナーは、アメリカ映画『 … 続きを読む 『イニシェリン島の精霊』は落語のような展開の、寓意性に富んだ傑作コメディ!

『ノースマン 導かれし復讐者』は重量感に満ちた北欧神話世界に分け入ったアクション・ファンタジー!

『ウィッチ』や『ライトハウス』を生み出し、類まれなる個性を世界に知らしめた映画監督ロバート・エガースの最新作の登場である。  これまでの作品の閉塞感に満ちた濃密な恐怖世界から、本作では北欧を舞台にした壮大なスケールのファ … 続きを読む 『ノースマン 導かれし復讐者』は重量感に満ちた北欧神話世界に分け入ったアクション・ファンタジー!

『モリコーネ 映画が恋した音楽家』は映画音楽を高みに引き上げた作曲家の、心に沁みるポートレート。

 かつてラジオの洋楽ベストテンには映画音楽が名を連ねることが少なくなかった。  たとえば『エデンの東』や『太陽がいっぱい』などがチャートを飾り、そのメロディを聞くだけで映像が蘇る。当時の映画ファンはそうして作品を追体験し … 続きを読む 『モリコーネ 映画が恋した音楽家』は映画音楽を高みに引き上げた作曲家の、心に沁みるポートレート。

『カンフースタントマン 龍虎武師』は香港アクションを支えた男たちに焦点を当てた感涙ドキュメンタリー!

 1990年代までの香港映画はアメリカ映画をはじめとする西欧映画に多大な影響を与えた。20世紀末に隆盛を極めた映画会社ゴールデン・ハーヴェストのドン、レイモンド・チョウはアメリカ映画が香港映画の真似をしていると、『リーサ … 続きを読む 『カンフースタントマン 龍虎武師』は香港アクションを支えた男たちに焦点を当てた感涙ドキュメンタリー!

『離ればなれになっても』は1980年代から40年間に至る友情の軌跡を描いた、イタリア製愛の物語。

 ある程度の年齢になると、どうやら人生はなるようにしかならないらしいと分かってくる。  どんなに弾けても、あるいはもがいても、尽きるところ、あるべきところにピースは収まるものだ。いささか運命論的ではあるけれど、そう思わな … 続きを読む 『離ればなれになっても』は1980年代から40年間に至る友情の軌跡を描いた、イタリア製愛の物語。

by Takaki Inada