inadatakaki のすべての投稿

1948年生まれ。映画解説者  雑誌の編集から原稿をを書くようになり、現在に至る。

『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』は、今も囁かれる噂を題材にしたロマンチック・コメディ。

 アポロ11号の月面着陸から55年、近年、宇宙覇権をめぐって、各国が再びしのぎを削っている状況のなか、月面着陸にまつわるとある「噂」が未だに根強く語り継がれている。月世界の映像があまりにシュールだったもので、地球でつくら … 続きを読む 『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』は、今も囁かれる噂を題材にしたロマンチック・コメディ。

『密輸 1970』は往年の日本B級アクションをほうふつとする、海女主導の痛快活劇!

 かつて昭和30年代前半、日本映画界に海女を主人公にした作品が何本もつくられた。『海女の戦慄』や『海女の岩礁』、『海女の化け物屋敷』といった作品群で、前田通子や三原葉子、筑波久子、万里昌代などのグラマラスな女優が妍を競っ … 続きを読む 『密輸 1970』は往年の日本B級アクションをほうふつとする、海女主導の痛快活劇!

『フェラーリ』はマイケル・マンが長年映画化を切望してきた、スポーツカーメーカーのドラマチックな伝記。

 本作はイタリアの高級スポーツカー・メーカーの創始者、エンツォ・フェラーリに焦点を当てている。それも1957年という、フェラーリにとっては激動の1年を映像化してみせた。  監督のマイケル・マンにとってはまさしく念願の作品 … 続きを読む 『フェラーリ』はマイケル・マンが長年映画化を切望してきた、スポーツカーメーカーのドラマチックな伝記。

『WALK UP』は人生の摩訶不思議を綴り続ける、韓国の匠ホン・サンスのモノクローム・ストーリー。

 個性派が鎬を削る韓国映画界のなかでも、ホン・サンスは独自のスタンスを守り、コンスタントに作品を発表している。1996年の『豚が井戸に落ちた日』(日本は1997年に劇場公開)でデビューして以来、独自の作家性を披露し、本国 … 続きを読む 『WALK UP』は人生の摩訶不思議を綴り続ける、韓国の匠ホン・サンスのモノクローム・ストーリー。

『バッドボーイズ RIDE OR DIE』はアクションと笑いで痛快味満点!これがエンターテインメント!

 どこまでもポジティヴで後味スッキリ。あらゆる趣向を網羅して、見る者を楽しませる。アメリカ映画のエンターテインメントの王道を行くのがジェリー・ブラッカイマーのプロデュース作品だ。1983年の『フラッシュダンス』を皮切りに … 続きを読む 『バッドボーイズ RIDE OR DIE』はアクションと笑いで痛快味満点!これがエンターテインメント!

『ブルー きみは大丈夫』は子供時代に思いを馳せる、痛快で心優しいファンタジー!

 音に反応して人間を襲う生命体の恐怖を描いた『クワイエット・プレイス』シリーズの世界的なヒットによって、監督、製作総指揮、脚本のみならず、出演も果たしたジョン・クラシンスキーは一躍メジャーな存在となった。それまでは地味な … 続きを読む 『ブルー きみは大丈夫』は子供時代に思いを馳せる、痛快で心優しいファンタジー!

『ドライブアウェイ・ドールズ』は徹底的に下世話で腹を抱える、風刺に富んだコメディ!

 ジョエルとイーサンのコーエン兄弟はアメリカ映画で異彩を放つ、素晴らしい映画監督である。そもそも1984年の『ブラッド・シンプル』で鮮烈に登場して以来、『ミラーズ・クロッシング』やカンヌ国際映画祭パルム・ドールに輝いた『 … 続きを読む 『ドライブアウェイ・ドールズ』は徹底的に下世話で腹を抱える、風刺に富んだコメディ!

『ライド・オン』は、ジャッキー・チェンがスタントマンの活躍を称えた人情アクション!

 香港映画が隆盛を極めたのは1980年代から1990年代にかけてのことだ。まず先立つ1970年代にキン・フーの時代劇、ブルース・リーの作品が世界に香港映画の存在を知らしめ、アクション、スタントの特異性を認知させた。  さ … 続きを読む 『ライド・オン』は、ジャッキー・チェンがスタントマンの活躍を称えた人情アクション!

『関心領域』は真の恐怖に慄然とさせられる、ホロコーストをテーマにした静かな人間ドラマ。

 第76回カンヌ国際映画祭でもグランプリを手中に収め、第96回アカデミー賞国際長編映画賞に輝いた本作は、改めて人間という存在を考えさせられる。仮借なく捉えた点で突出した作品である。ここまで静かに、徹底的に恐怖を極めた作品 … 続きを読む 『関心領域』は真の恐怖に慄然とさせられる、ホロコーストをテーマにした静かな人間ドラマ。

『碁盤斬り』は、個性派監督・白石和彌が草彅剛主演で挑んだ初の時代劇!

 アメリカ映画をはじめとする洋画が配信に舵を切ったせいか、プロモーションの変化とともに興業はパワーを失い、一方で日本映画の数は増え続けている。作品の増加とともに内容も多様化し、個性に富んだ監督たちも活躍の場を得ている。 … 続きを読む 『碁盤斬り』は、個性派監督・白石和彌が草彅剛主演で挑んだ初の時代劇!