『ゴジラxコング 新たなる帝国』は巨獣たちが組んずほぐれつ、痛快に暴れまくる一大娯楽作!

『ゴジラxコング 新たなる帝国』
4月26日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国東宝系にてロードショー
配給:東宝
©2024 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
公式サイト:https://godzilla-movie.jp/

 大画面いっぱいに巨大なモンスターが暴れまくり、破壊の限りを尽くす。理屈を超えてぶち壊す快感に浸れる、こういう作品は洋邦を問わず大きな動員が期待される。本作はただひたすらモンスターたちの暴れぶりが嬉しくなる作品だ。

 時はあたかも第96回アカデミー賞で日本製の『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞に輝いた直後でもある。日本製の人知を超えた破壊王が、どのようにアメリカで受け入れられているか。とことんアメリカ色に染まったモンスター・エンターテインメントとしても、格好の仕上がりとなっている。

 本作はワーナー・ブラザース、レジェンダリー・ピクチャーズ、東宝が提携してきたハリウッド版『ゴジラ』シリーズと『キングコング:髑髏島の巨神』の世界観が混じりあった「モンスター・ヴァース」シリーズの1本。2大モンスターの夢の対決を描いた『ゴジラvsコング』の続編となる位置づけだ。

 本作では前作『ゴジラvsコング』の設定、世界観がそのまま継承される。地上世界はゴジラが治め、地底の異世界はコングが君臨する仕組み。より人間的な心根を持つコングの世界は未知の部分も多いのだが、コング自身は十分に日々を謳歌していた。

 だが、コングに似た未知の獣の群れが現われ、さらに強烈な巨獣も出現。一度は戦ったコングだが、腕に傷を負ってしまう。人類の未確認生物特務機関「モナーク」はコングに助けの手を伸ばすが、未知の軍団は地底世界から地上世界に破壊の手を伸ばしていく――。

 地底世界という異世界を発想したのが成功の秘訣。未知の巨獣や未知の文化の痕跡などが登場しても何の違和感もない。より人間の感情に近いコングの行動が暴れる起点となる。大ヒット作『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』などで話題となったテリー・ロッシオを筆頭にサイモン・バレット、ジェレミー・スレイターが、前作の流れを活かしながら脚本化。前作でもメガフォンを取ったアダム・ウィンガードが理屈抜き、アクション主導の演出を繰り広げる。

 地底から地上に敵キャラクターが現れて、ゴジラも加わった一大バトルが展開する。ピラミッドをはじめとする風光明媚な場所が戦いの場に選ばれるのは、もはや定番。ゴジラ×コングの意味がここに明らかになる仕組みだ。

 全米のみならず、全世界で高い興行収入を得たという。とにかく痛快に徹して疾走したのが功を奏したのか。出演者もレベッカ・ホール、ブライアン・タイリー・ヘンリー、ダン・スティーヴンスなど、前作のままで地味なイメージだが、モンスターたちの活躍ぶりが補って余りある。モンスターのファンには感涙ものの怪獣もクライマックスに登場して場をさらう。

 東宝怪獣映画へのオマージュとでもいいたくなる仕上がり。長い休日を楽しく過ごすには、格好の作品である。