『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』は故郷ニューヨークに戻ったシリーズ最新作!

『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』
3月29日(金)より、TOHOシネマズ日本橋、TOHOシネマズ日比谷、109シネマズ プレミアム新宿、新宿バルト9、新宿ピカデリーほか、全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:https://www.ghostbusters.jp/ 11296394

 2020年に公開された前作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は、シリーズ生みの親であるアイヴァン・ライトマンから息子のジェイソン・ライトマンが引き継いだという意味で画期的だった。

 ジェイソンは父と異なり、『サンキュー・スモーキング』や『JUNO/ジュノ』、『マイレージ・マイライフ』など、エッジの利いたユーモアを得意にしていたからだ。その懸念を払拭するように、ジュブナイルのSF冒険譚に仕上げて、自分らしさを打ち出しながら、父の作品を称えてみせた。

 作品の評価もよかったが、間もなく父、アイヴァンがこの世を去ったこともあり、次なるシリーズ作品への期待が高まった。こうして本作の登場となる。ジェイソンは、CGアニメーションの『モンスター・ハウス』やホラー・リメイク『ポルスターガイスト』などで知られるギル・キーナンと前作に続いてタッグを組み、脚本を執筆。今度はプロデュースにまわって、キーナンに監督を任せるという作戦に出た。

 本作ではゴーストバスターズのチームが、かつて活動していたニューヨークに戻って、新たな活動を開始する趣向。

 前作で活躍したイゴン・スペングラーの孫フィービーにトレヴァー、ママに恋人のゲイリーを加えたメンバーがニューヨークに巣くう悪霊たちと戦う展開となる。こうなるとかつてのゴーストバスターズ・メンバーに会いたくなるのがファンの本音。その願いをキーナンとライトマンはきっちりと叶えてくれる。

 本作にはビル・マーレイ扮するピーター・ベングマン博士、ダン・エイクロイド演じるレイモンド・スタンツ博士もゴーストバスターズの一員となって活動する。こうなると、敵の強さが問題となるが、今回の悪霊はすべてを一瞬で凍らせる史上最強ゴーストガラッカ。真夏の暑さのニューヨークはたちまち氷の世界に変貌してしまう。

 ゴーストバスターズ軍団は力を合わせて、弱点を探し当て、ニューヨークを元の状態に戻せるだろうか――。

 キーナンはスピーディな語り口で疾走してみせる。往年のシリーズのくすぐりを散りばめながら、フィービーやトレヴァーの冒険に軸足を置く。ニューヨークという、何が起きてもおかしくない大都会を存分に活かし、クライマックスのスペクタクルまでひた走る。あくまでも痛快エンターテインメントとしてのスタンスを崩さず、ホラー要素も盛り込む。達者な演出を披露してくれる。

 もちろん、本作では新旧ゴーストバスターズ・メンバーの競演がいちばんの魅力である。ベングマン博士のおとぼけぶり、スタンツ博士の好好爺ぶりも楽しい。なによりもマシュマロマンをはじめとするキャラクターが随所に登場するのはシリーズのファンにとっては応えられないところだ。

 フィービーを演じるマッケナ・グレイスが印象的だ。『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』や『キャプテン・マーベル』で、ともにヒロインの少女時代を演じたことが記憶に新しい。着実に存在感を増して俳優の道をひた走っている。

 一方、トレヴァー役のフィン・ウルフハートはジェシー・アイゼンバーグの初監督作『僕らの世界が交わるまで』でも個性を発揮したが、ここでも初々しい雰囲気で好感度は高い。さらにゲイリー役のポール・ラッドはマーベル・シネマティック・ユニバースの『アントマン』のヒーローを演じておなじみ。どこまでも人の好いキャラクターならお任せの俳優だ。

 レイ・パーカーJRの主題歌も最後にきっちりと流れる。どこまでもお気楽だった1980年代の気分も堪能できる。好もしい作品だ。