inadatakaki のすべての投稿

1948年生まれ。映画解説者  雑誌の編集から原稿をを書くようになり、現在に至る。

『追龍』は香港ノワール全盛期の醍醐味をとことん堪能させてくれる、実録クライムドラマ。

 香港映画が輝いていたのは1980年代、1990年代(厳密にいうなら1997年の中国本土復帰まで)だった。  ジャッキー・チェンが『プロジェクトA』をはじめとする代表作を量産し、いわゆる香港ノワールやジェット・リーの『ワ … 続きを読む 『追龍』は香港ノワール全盛期の醍醐味をとことん堪能させてくれる、実録クライムドラマ。

『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』はフランソワ・オゾンが挑んだシリアスな実話の映画化。

 多彩な作品歴を誇るフランス映画界の匠、フランソワ・オゾンがベルリン国際映画祭審査員特別賞を手中に収めた作品である。  オゾンは1967年11月25日生まれだから、まもなく53歳になる。生物学者の父、フランス語教師の母の … 続きを読む 『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』はフランソワ・オゾンが挑んだシリアスな実話の映画化。

『WAR ウォー!!』はケレン味たっぷり、アクション超ド級のインド製アクション。もちろん歌と踊りも満載。

 インド映画の楽しさは、作家性のある作品を別にすると、1本の作品のなかにあらゆるエンターテインメントの要素が網羅されているところにある。  実話の映画化だろうと、感動のヒューマンドラマだろうと、ジャンルを問わない。ストー … 続きを読む 『WAR ウォー!!』はケレン味たっぷり、アクション超ド級のインド製アクション。もちろん歌と踊りも満載。

『グッド・ワイフ』はメキシコの新鋭女性監督が描く、ゴージャスで辛辣、洞察力に富んだ女性映画。

 アルフォンソ・キュアロンやアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、ギレルモ・デル・トロをはじめ、メキシコ映画の個性豊かな匠たちは、心に残る作品を数多く生み出してきた。濃密で緊張感に溢れた映像と演出力が共通項。アメリカ映 … 続きを読む 『グッド・ワイフ』はメキシコの新鋭女性監督が描く、ゴージャスで辛辣、洞察力に富んだ女性映画。

『ブリット=マリーの幸せなひとりだち』は還暦を過ぎても自立できると謳う、北欧発のヒューマンコメディ。

 スウェーデンでは公開されるやナンバー1に輝いた、さりげなくて好もしいヒューマンコメディである。  コロナ禍によって映画館も自粛のやむなきに至り、派手なエンターテインメントが次々と公開延期となる状況のもとで、こうした心に … 続きを読む 『ブリット=マリーの幸せなひとりだち』は還暦を過ぎても自立できると謳う、北欧発のヒューマンコメディ。

『ペイン・アンド・グローリー』は黄昏を迎えたペドロ・アルモドバルの、心に沁みる“心境”映画。

 スペインの映画監督というと、巨匠ルイス・ブニュエルの印象が強いためか、その作品には奇想のイメージが浮かぶ。実際、名前を挙げるだけでも、フラメンコ映画のカルロス・サウラ、静謐なビクトル・エリセ、あるいはスリラーの多いアレ … 続きを読む 『ペイン・アンド・グローリー』は黄昏を迎えたペドロ・アルモドバルの、心に沁みる“心境”映画。

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』は好もしく、爽やかな、女性ならではのエンターテインメント。

 ルイ―ザ・メイ・オルコットが1868年に発表した小説「若草物語」は、性格も夢も異なる4人の姉妹の軌跡を活き活きと紡ぎ、今もなお世界中から広く愛されている。  当然、映画化も数多い。1933年のキャサリン・ヘプバーン主演 … 続きを読む 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』は好もしく、爽やかな、女性ならではのエンターテインメント。

『今宵、212号室で』はおとな感覚のファンタスティックなラブストーリー。

 コロナウィルス禍の緊急事態宣言が緩和され、映画館がようやく新作を公開できる状況になったことはまことに喜ばしい限りだ。これまで全国の映画館が一斉に閉じる状況は例がなかっただけに、新作映画に接することができる喜びはひとしお … 続きを読む 『今宵、212号室で』はおとな感覚のファンタスティックなラブストーリー。

映画館はとりあえず開館が決まったが、映画は今後、どのように変貌するのか――。

 要請というかたちでの自粛強要がはじまって、ほぼ3カ月。緊急事態宣言が解除されて、ようやく6月から映画館が開けることになった。ただ、三密にならぬようにとの但し書きつきではある。座席が満席にならぬように間隔をあける、換気を … 続きを読む 映画館はとりあえず開館が決まったが、映画は今後、どのように変貌するのか――。

いつまで続く泥濘か。閉ざされた映画館を前にして思うこと。

新型コロナウィルスの猛威は留まることを知らないかのようだ。未だに世界各地で感染者が増え続け、死者も決して少なくない。 とりわけこの病の酷なのは人と人が接することで蔓延する点にある。 病が発生する前は、コミュニケーションは … 続きを読む いつまで続く泥濘か。閉ざされた映画館を前にして思うこと。