
11月7日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
配給:ツイン
© 2024 CHAPTER 2 – PATHE FILMS – M6 FILMS – FARGO FILMS
公式サイト:https://monte-cristo.jp/
近年、ユニークな作品に仕上げるために、重箱の隅をつついたような題材を取り上げたり、あるいは設定を突飛なものに変えたりと、さまざまな工夫を凝らすあまり、エンターテインメント本来の面白さを損ねるケースも生まれてきている。よくある展開であろうとも面白いものは面白い。名作を顧みる風潮を歓迎する所以だ。
本作はタイトルを見ても分かるように、アレクサンドル・デュマの名作の映画化である。日本では「巌窟王」という題名で翻訳されたことがある。
この名作をあえて現代に蘇らせたのはマチュー・デラポルトとアレクサンドル・ド・ラ・パトリエールのふたり。彼らはリュック・ベッソンの製作した2010年作『バレッツ』で名を連ねて以来、2014年の『フェイク・ライフ -顔のない男-』の脚本で組み、デラポルトは監督、ド・ラ・パトリエールは製作を引き受けた。
本作ではふたりが脚本を担当し、監督もともに名を連ねている。原作に特別な思い入れを抱いていたふたりにとって念願のビッグ・プロジェクトということになる。
スケールの大きなストーリーとともに、ナポレオン没落後、19世紀前半のマルセイユの港町、孤島の要塞監獄、パリの社交界などの舞台を完璧に再現。愛と復讐の物語を情感豊かな語り口で映像化している。豪華絢爛なロケーション、撮影、美術、衣装など、フランス映画界の底力を世界にアピールする大作となった。
第 77 回カンヌ国際映画祭でワールドプレミア上映され、11 分間におよぶ熱狂的なスタンディング・オベーションを獲得したことで話題となり、全世界興収 1 億ドル超えのヒット。第 50 回セザール賞では最多 14 部門にノミネートされ、衣装デザイン賞、美術賞を見事に受賞した。
出演者も旬の顔ぶれが選りすぐられている。主人公のエドモン・ダンテス、後のモンテ・クリスト伯を演じたのは、『イヴ・サンローラン』でセザール賞主演男優賞を受賞したピエール・ニネ。彼を盛り立てるべく、『恋するアナイス』のアナイス・ドゥムースティエ、『12 日の殺人』のバスティアン・ブイヨン、『エル ELLE』のロラン・ラフィット、『永遠のジャンゴ』のパトリック・ミルが続く。さらに『あのこと』のアナマリア・ヴァルトロメイ、イタリア映画界の名優ピエルフランチェスコ・ファヴィーノなどが居並ぶ。まさに充実のキャスティングである。
航海士エドモン・ダンテスは船長への昇進が決まり、順風満帆。結婚も控えていた。
だが、策略により無実の罪で投獄されてしまう。絶望し気力を失ったダンテスだったが、脱獄を企てる老司祭との出会いにより希望の灯がともる。
司祭はダンテスに学問と教養を教え、テンプル騎士団の隠し財宝の存在を打ち明けた。
囚われて14年後、奇跡的に脱獄を果たしたダンテスは莫大な財宝を手に入れ、復讐を果たすべく動き出す。
謎の大富豪「モンテ・クリスト伯」としてパリ社交界に姿を現した彼は、自らの人生を奪った男たちに近づいていった――。
波乱万丈、冒険譚の面白さをギュッと凝縮して紡がれる。上映時間、178分と決して短くはないが、画面にくぎ付けとなる。本作が世界中で絶賛を博した大きな要因は、デュマの原作の魅力をあますところなく映像化したことにある。主人公の怒り、怨念が後半の復讐が晴らされる。まさに冒険エンターテインメントの鑑のような仕上がりである。
もちろん、ダンテスを演じたピエール・ニネの熱演ぶりも見逃せない。不当な境遇に置かれて怒りを募らせ、復讐の想いに身を焦がすキャラクターを熱演する。こういう喜怒哀楽のはっきりした役柄をサラリと表現するあたり、今のフランスを牽引する存在であることを実感させる。
まさに冒険小説の古典、分かりやすく映像化した作品。ヂュマの原作を読んだことのある方には一見をお勧めしたい。