『28年後… 白骨の神殿』は、ホラー世界がどのように変容していくか、目が離せない。

28年後… 白骨の神殿』
1月16日(金)より、TOHOシネマズ日本橋、TOHOシネマズ日比谷、109シネマズプレミアム新宿、グランドシネマサンシャイン池袋ほか、全国の映画館で公開
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:https://www.28years-later.jp/

 新種のウィルスによって人類が凶暴化。人類が存亡の危機に陥る展開はゾンビ映画の定番と化した感があるが、とりわけ『28日後…』は息の長いシリーズに成長したことで、注目すべきものとなった。

 2002年登場した第1作はアレックス・ガーランドのオリジナル脚本のもと、『トレインスポッティング』や『スラムドッグ$ミリオネア』などで知られるダニー・ボイルが監督したことでも話題になった。

 作品はスマッシュヒットを記録したことで、2007年に続編『28週後…』が生まれた。ダニー・ボイルとアレックス・ガーランドは製作総指揮にまわり、『10億分の1の男』のファン・カルロス・フレスナディージョが監督に抜擢され、脚本もエンリケ・ロペス・ラビニュなどともに手がけた。イギリスと共同制作のスペイン色の強い布陣となった。

 それから時を経て、2025年に第三作『28年後…』が製作された。初心に戻り、脚本は『シビル・ウォー アメリカ最後の日』が評価されて世界的な注目を浴びたガーランド、監督はボイルとなって、新しい旅立ちを予感させる内容となった。

 第三作は、大都市ロンドンを離れ、病から生き延びるために孤島に暮らす人々に焦点を当てる。少年スパイクと父は孤島を離れ、獣となった感染者たちに遭遇しつつも、医師ケルソンに出会い、難病の母を救おうとする……。

 作品の最後でスパイクがカルト集団“ジミーズ”と出会うところで終わる。こうなると続編があるのは必至。僅か半年後に本作の登場となった。

 当然ながら、脚本はガーランドのままだが、ボイルは製作にまわり、監督には『キャンディマン』や『マーベルズ』のニア・ダコスタが起用された。

 出演は前作で圧倒的な存在感をみせた名優レイフ・ファインズ、前作から引き続きパイクを熱演するアルフィー・ウィリアムズ。『不屈の男 アンブロークン』のジャック・オコンネルなどが熱い演技を披露する。

 父の暮らす孤島を離れ、感染者が蔓延するイギリス本土に一人で旅立ったスパイクはカルト集団、“ジミーズ”を率いるジミー・クリスタルと出会い行動をともにする。

 狂信的な信仰を奉じるジミーの命令のもと、次々と残虐な行為に走る一団は感染者も未感染者の区別なく殺戮を繰り返していく。

 一方、たったひとりで感染者の治療法の研究をしている医師ケルソンは、感染者サムソンに希望を見出すが、”ジミーズ”が姿を現す。

 ジミーは白骨の神殿に住むケルソンに対して奇異な宗教的感情を抱くが、最悪の事態が待ち受けていた――。

 ニア・ダコスタのサスペンスを煽る語り口とともに感染者よりも。恐ろしい狂信者の存在が紡がれる。ここに至って現実に存在する付和雷同型狂信者の恐怖が浮き彫りにされる仕掛けだ。ボイルの世界を受け継ぎながら、さらにスリリングな恐怖世界を構築したダコスタに拍手を送りたくなる。どこまでも安心できない世界に翻弄されるばかり。このシリーズがまだまだ続いても不思議ではない。

 出演者はいずれもキャラクターをしっかりと造形している。アルフィー・ウィリアムズはイノセントなスパイク役をくっきりと表現すれば、ジミー役のジャック・オコンネルは狂信的なカリスマを堂々と演じ切る。

 だが圧巻なのがケルソンを演じたレイフ・ファインズだ。髪を剃り上げ、肉体をビルドアップして臨んだケルソン役は有無を言わさぬ迫力で見る者を惹きこむ。本作と前作の魅力を支えているのはファインズに尽きる。

 早くも続編が製作されるとも聞く。この悪夢世界がどのような変容を遂げるのか、ますます目が離せない。