『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』はトム・クルーズによる超絶アクション大作!

『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』
5月17日(土)より先行ロードショー/5月23日(金)よりTOHOシネマズ日比谷、、丸の内ピカデリー、109シネマズ プレミアム新宿、新宿バルト9ほかで公開
配給:東和ピクチャーズ
©2025 PARAMOUNT PICTURES.
公式サイト:https://missionimpossible.jp/

 今やトム・クルーズは、かつてのジャッキー・チェンのようにアクション・ヒーローの代名詞になってしまった。今度はどんなスタントを見せてくれるのか。常に期待を持たせ、それを上回る仕掛けで驚かせてくれる。とりわけ『ミッション:インポッシブル』シリーズが回を重ねるにしたがって、あの手この手の仕掛けを用意してくれる。

 シリーズ最新作の製作にかかる前、近年、コンビを組んでいるトム・クルーズと監督のクリストファー・マッカリーは脚本を書く前に次に何をやりたいかを話し合うのだという。特に本作は前作『ッション:インポッシブル デッドレコニング』に連なる2部作解決編の位置づけとあって、制約のあるなかで、マッカリーは真にグローバルな『ミッション:インポッシブル』を作りたいと答えたという。

 マッカリーとともに『ザ☆ビッグバン!!』のエリック・ジェンドレセンが脚本を担当し、世界を股にかけたストーリーが構築された。ロンドン、北極圏にあるスヴァールバル諸島、南アフリカのドラケンスバーグ山脈、ブリュッセルアリア海岸沖にアメリカの航空母艦など、ロケーションは多岐に及び、見る者をひと時も飽きさせない。

 深海に沈んだ潜水艦からの脱出、空駆ける複葉機でのアクションをはじめ、次々と見せ場が織り込まれる。まさに息つく暇もないほどだ。しかもできるだけCGを使わず、実際に空飛ぶ翼の上に立ち、アクロバチックな殺陣を演じるのだから恐れ入る。そうした体技を画面に披露するために、肉体・精神とも鍛錬を欠かさない。トム・クルーズは現在62歳。凄まじい鍛え方ではある。

 どこまでもイーサン・ハント役のトム・クルーズ中心のキャスティング。「M:i:III」で登場して以降、イーサンの盟友となっているベンジー役のサイモン・ペッグ、シリーズ全作に登場しているルーサー役のビング・レイムスなど、おなじみの顔ぶれはもちろん、顔を揃える。

 さらに『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』などで注目されたヘイリー・アトウェルが前作からニューヒロイン、グレースを演じる。同じく前作でも鮮烈な印象を残したパリス役のポム・クレメンティエフ、悪の親玉ガブリエル役のイーサイ・モラレスも続投している。

 前作でかろうじて鍵を入手したイーサン・ハントのチームだったが、AI「エンティティ」を破壊する使命は残されていた。

 だが、鍵を争ったガブリエルはイーサンを狙って、さらなる陰謀を仕掛けてくる。そのために、大切な仲間が犠牲になる。

 しかし、イーサンには悲しむ余裕すら残されていなかった。使命のために、北極海に沈没したロシアの原子力潜水艦に乗り込み、鍵を解除しなければならない。「エンティティ」は各国のコンピュータ網に入り込み、自分の傘下に収めていた。

 これを阻止するためには「エンティティ」を困惑させる必要があった。イーサンは熱弁をふるい、アメリカ大統領に直訴。時間の猶予をもらい、「エンティティ」を陥れるべく、作戦を決行する。

 彼らの行く先にはガブリエルが待ち構えていた。怒りに燃えるイーサンの戦いが始まる――。

 本編が始まると同時に、アクションのつるべ打ち。見る側をとにかく惹きこむことに全力を傾倒している。それにしてもトム・クルーズ、還暦を優に超えたというのに、この暴れっぷりはどうだ。飛行機に宙づりになり、潜水服姿で海水にまみれる。もちろん都会であってもひたすら走る。アクションする姿ばかりだ。

 ここまで頑張って見せたのだから、尺が長くなったのも致し方ないか。今回は上映時間が2時間49分もあるのだ。苦労して撮影したシーンは十全に作品に残したいとの思いの表れだろう。

 同時に、クリストファー・マッカリーの個性がにじみ出た作品ともいえそうだ。この人は基本的にシリアス。ユーモアとはかけ離れた資質の持ち主だ。ゆえに本作でもミッションを遂行するためには、困難な作業であればこそ、代償も大きくなる。前作に引き続き、貴重なメンバーの犠牲が描かれる。それが誰なのかは見てご確認いただきたい。

 ここまでスケール大きくアクションの可能性を求め、スター映画としての輝きを持ち続けているのは本シリーズのみ。シリーズが継続されることを切に望む。