
4月11日(金)より、TOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー
配給:東宝東和
©2024 UNIVERSAL STUDIOS, STUDIOCANAL AND MIRAMAX
公式サイト:https://bridget-jones-movie.jp/
イギリスのワーキング・タイトル・フィルムズは『ノッティングヒルの恋人』や『ラブ・アクチュアリー』などロマンチックコメディに定評があるが、とりわけ世界的にアピールしたのが2001年に発表された『ブリジット・ジョーンズの日記』だった。
ヘレン・フィールディングによる小説を映像化したもので、ブリジット・ジョーンズはもともとは新聞コラムから誕生したキャラクター。等身大で性と恋に前向きの現代女性として人気を博し、小説に至った。
映画化に際しては原作者フィールディングに加え『テイラー・オブ・パナマ』のアンドリュー・デイヴィス、『ノッティングヒルの恋人』のリチャード・カーティスが参画して練り上げ、作品は世界的なヒットを記録した。
大ヒットすれば続編ができるのが映画界の理。2004年には『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月』、ちょっと間をおいて2016年に『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』が製作された。いずれも第1作からヒロインに抜擢されたレネー・ゼルウィガーが熱演。女性の本音をあからさまにしたキャラクターを軽妙に演じきり、コミカルでロマンチックなストーリーと相まって高い評価を受けた。
だが第3弾の時点でアラフォーとなったヒロイン、まして最愛の相手と結ばれた状況のなかで、まさか続きが生まれることとは思わなかったが、9年後、本作が誕生することになった。
もちろん、ヒロインはレネー・ゼルウィガーがそのまま続投するが、能天気なキャラクターにも、年齢をはじめシリアスな問題が立ちはだかる。それをヒロインは克服できるかというのが本作の命題である。
ブリジット・ジョーンズは最愛の人、マークを突然に失ってしまう。子供ふたりを抱え、突然未亡人になってしまったが、悲しみに沈んでばかりはいられない。
元彼のダニーをはじめ周囲の励ましに支えられ、シングルマザーとして職場への復帰を果たす。
私生活でもマッチングアプリで若者と知り合い、いい雰囲気になる。何かと杓子定規な息子の教師と言葉を交わす関係となる。
仕事も順調に行き、楽しいはずの日々、心のなかではマークが恋しいと考えるブリジットに思わぬ変化が訪れる――。
24年間にわたって、ひとりのキャラクターをキャスティングを変えずに映画化するとなると、年齢の問題は避けて通れない。まして人間臭いキャラクターを売りにしているとなおさらのことだ。しかも前作がマークと結ばれて終わったとなれば、本作で未だ色恋を題材にしていくためには、前作を覆す悲劇が求められる。
原作者のヘレン・フィールディングは前作で脚本参加したダン・メイザー、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』のアビ・モーガンとともに知恵を絞り、シングルマザーとして再出発する展開に仕立てた。そこに年齢を意識させるペーソスが漂うのは当然のことだ。監督は『To Leslie トゥ・レスリー』で注目された、テレビ畑のマイケル・モリスが務めている。
能天気な笑いに終始することなく、人生の半ばを迎えながら、未だ人生の喜びを全力で求め続けるヒロインに対して、温もりのある賛辞を送っている。
出演者のなかではレネー・ゼルウィガーの頑張りが目立つ。1969年4月生まれというから50歳代半ばを過ぎているが、それでも素直なキャラクターを、色香を感じさせながら軽やかに演じ切る。シリアスな『ジュディ 虹の彼方に』とは好対照、コメディエンヌとしての資質を十分以上に発揮している。
嬉しいのはシリーズ第2弾以来の出演となるヒュー・グランドが顔を出していること。
やわらかで洗練された味わいはやはりワーキング・タイトル・フィルムズには欠かせない。この他、コリン・ファースも出てくるが、新たなお相手はキウェテル・イジョフォーとレオ・ウッドール。
やはり年齢を増すとペーソスが漂っちゃうのか。人生の無常まで感じさせるロマンチックコメディ。一見に値する。