『バッドボーイズ RIDE OR DIE』はアクションと笑いで痛快味満点!これがエンターテインメント!


『バッドボーイズ RIDE OR DIE』
6月21日(金)より、TOHOシネマズ日本橋、TOHOシネマズ日比谷、丸の内ピカデリー、109シネマズプレミアム新宿ほか全国の映画館で公開
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:https://www.badboys-movie.jp/

 どこまでもポジティヴで後味スッキリ。あらゆる趣向を網羅して、見る者を楽しませる。アメリカ映画のエンターテインメントの王道を行くのがジェリー・ブラッカイマーのプロデュース作品だ。1983年の『フラッシュダンス』を皮切りに『トップガン』シリーズ、『ビバリーヒルズ・コップ』シリーズ、『ザ・ロック』、『アルマゲドン』、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどなど、枚挙の暇がない。

『バッドポ―イズ』シリーズの最新版となる本作もまたブラッカイマーのプロデュースである。シリーズはウィル・スミスの名を広く知らしめた刑事アクションとして人気を博した、本作が4作目となる。第1作は1995年に、既にコメディアンとして人気のあったマーティン・ローレンスに、売り出し中のウィル・スミスを組ませて、化学変化を狙ったキャスティングで生まれた。狙いは的中して大ヒットを記録。当時、ブラッカイマーがコンビを組むことが多かったマイケル・ベイの問答無用の派手なアクションと、ふたりの掛け合いの面白さが相まって、かなりの好評価を獲得した。

 ヒットの余勢を駆ってシリーズ化されることになり、『バッドボーイズ2バッド』が2003年に製作された。こちらも大いに話題となったが、第3弾が生まれるまでに長い間隔が空いてしまう。ウィル・スミスに魅力的なオファーが次々と押し寄せ、本シリーズにまで目が向かなかったのか、第3弾が登場するまでには2020年まで待たなければならなかった。

 第3弾の『バッドボーイズ フォー・ライフ』では、ブラッカイマーは安定したクォーリティの出演者にあえて若い監督をぶつけることで、新たな魅力を付加しようと考えた。監督にはベルギー出身のアディル・エル・アルビとピラル・ファラーのコンビ(通称アディル&ピラル)が抜擢された。ふたりはベルギーの映画学校で出会い、テレビシリーズやミュージックヴィデオなどで実力を磨いた。

 ふたりは抜擢に応えてきびきびした語り口で、年齢を重ねた俳優たちの語りの面白さ、アクション、スタントの活きの良さをスピーディな映像で切り取ってみせて、第1作を超える4億ドルの世界興行収入を叩き出した。

 こうなると第4作の監督は引き続きアディル&ピラルになるのは当然のこと。第3弾から引き続きの設定も加わり、マイアミ警察の名物刑事コンビにも多大な変化が生まれている。

 マイアミ警察で独身を謳歌していたマイクもついに結婚することになる。家族第一主義の相棒のマーカスを喜ばせるが、式の最中にマーカスが倒れ、臨死体験。復活したものの、不死身になったがマイクは試練に遭うと予言する。

 そのことば通り、マイクは前作で死んだ上司が麻薬組織と共謀していたとの疑惑に反発。自ら真相を明らかにしようとするが、かえってFBIや警察組織から疑われ、麻薬組織からも狙われることになる。

 マイクはマークスや親しき同僚、さらには前作で発覚した息子などとともに巨悪に対して戦いを挑んでいく――。

 アディル&ピラルは前作以上にメリハリの利いた語り口で疾走する。ローレンスとスミスの安定した笑いがアクションシーンでは一転、圧倒的な迫力とスピードでサスペンスを盛り上げる。まさにエンターテインメントの鑑とも言いたくなる。ローレンスとスミスのギャグ・センスもさらにリニューアルされた印象すらある。この監督たちがどのような進化を遂げるか、ますます楽しみである。

 ローレンスもスミスも年齢を増して、初老のペーソスも漂う。笑いにも深みが出てきたといえるか。予定調和といわれても、ヒーローが困難を乗り越えて勧善懲悪を達成するエンターテインメントは痛快だ。安心して楽しめる、こうした作品がもっと増えてほしいものだ。