『MEG ザ・モンスターズ2』はインパクトと痛快さで貫いた海洋パニック・アクション!

『MEG ザ・モンスターズ2』
8月25日(金)より全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/megthemonsters/

 酷暑が続く今年の夏には、涼しい映画館で深刻なことは何も考えずに楽しめるアトラクション・ムービーがみたくなる。ひたすら痛快さだけを追求し、スリル満載。単純に面白い作品だ。大画面や3Dでみるのが最適な映画なら大歓迎だ。この条件にあてはまるのが、今年は本作ということになる。

 2018年に世界的なヒットを記録した『MEG ザ・モンスター』の続編として製作された本作は、前作と同じくスティーヴ・オルデンの小説を原作にしながら前作以上に派手に仕立て、よりスケールアップした内容となっている。

 前作に引き続きジョン・ホーバー、エリック・ホーバー、ディーン・ジョーガリスが原作をもとに話をひろげ、前作で大暴れした超巨大サメ、メガドロンが複数登場するばかりか巨大な深海生物も出現する構成となっている。監督は『キル・リスト』や『ハイ・ライズ』などで注目されたベン・ウィートリー。アクションとスペクタクルでつなぐ問答無用のストーリーテリングを心がけている。

 なにより前作と同じく本作は中国の資本が製作に参加。アメリカ映画的能天気さをさらに誇張した展開になっている。前作同様、元高飛び込みの選手だったジェイソン・ステイサムが主演を務めるが、互角にヒロイックなアクションを披露するのが『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』などで知られる中国映画界の人気スター、ウー・ジンだ。彼が出演することによって中国の映画ファンが大挙集結することは約束される。今や膨大な中国の映画人口を無視することはあり得ないのだ。

 ステイサム、ウー・ジンがコンビを組んでアクション、スタントのつるべ打ち。問答無用の理屈抜き世界が繰り広げられる趣向だ。しかも今回は、深海、水中、陸上それぞれに見せ場が用意されている。

 潜水レスキューのテイラーは、海洋調査チームとともに潜水艇でマリアナ海溝に潜った。人類未踏の深海。そこには巨大ザメMEGの群れに加え、さらなる巨大生物も生存していた。

 このまま静かに海上に戻ろうとしたが、この深海で人間の別な陰謀を発見してしまう。その事件が、MEGを目覚めさせてしまう。テイラーたちとともにMEGの群れと、さらなる巨大生物たちを深海から地上に誘うことになってしまう――。

 本作ではMEGの凄まじい襲来もさることながら、陰謀を企む人間たちとの戦いも織り込まれる。盛り沢山の趣向で、次々と見せ場を用意してみせる。銃撃戦から巨大怪物との戦い迄クライマックスはまさに息もつけない。なるほど大画面で見るにふさわしいパワフルさだ。インパクト主義はここに極まった感じがする。

 ウィートリーはとにかく勢いで押し通す演出。多少の乱暴な展開などものともせず、迫力画像で貫く。しかもユーモアを散りばめながらの平易な語り口で終始したのだから、幅広い観客を求める製作者の起用に応えたかたちだ。

 出演者はテイラー役のステイサムよりも研究チームの一員に扮したウー・ジンのキャラクターが際立っている。さすがに中国を代表する人気スターだけのことはある。アクションのキレに驚かされる。

 夏にふさわしい、痛快エンターテインメント。たまにはこうした楽しいだけの作品も悪くないか。