『ザ・スーパーマリオブラザース・ムービー』は王道のCGアニメーション!

『ザ・スーパーマリオブラザース・ムービー』
4月28日より全国ロードショー
配給:東宝東和
© 2023 Nintendo and Universal Studios
公式サイト:https://mario-movie.jp/

 1981年7月9日に、アーケードゲーム「ドンキーコング」で初登場して以来、スーパーマリオは非常に多くのゲームソフトに登場してきた。

 任天堂の看板キャラクターとして、任天堂公式ホームページのアイコンなどのデザインにも採用されている。多くのゲームに参画し、マリオが主役として登場する「マリオシリーズ」の累計販売本数は、アクションゲームシリーズ「スーパーマリオシリーズ」のみで2018年12月時点において、全世界3億4000万本以上に達している。この記録はゲーム業界全体で世界1位であり、他社が版権を有するものを含め、過去数十年間のゲーム産業で誕生したフランチャイズにおいてこの記録を上回るものは存在していない。

 人の好いオッサン面のマリオとルイージは、今や知らぬ人のいない人気キャラクターとなっている。これまで映像化されたことはなかったのかという、素朴な疑問が生まれてくるが、実はあった。

 1993年に製作された『スーパーマリオ/魔界帝国の女神』。『ミッション』のローランド・ジョフィが製作にまわり、主演が英国の名優ボズ・ホスキンス、アメリカのジョン・レグイザモというくせ者俳優が起用されたが。作品の評価は高くなかった。コスプレ映画というそしりを受けたのだ。ホスキンスは2014年に物故したが、「この作品は最悪の選択だった」とコメントしていたそうだ。

 映画の失敗には頓着せずに、マリオは世界的に知られていく。21世紀に入って世界津々浦々までマリオは存在がアピールされた。ここで映画化の手を挙げたのはイルミネーション・スタジオだ。任天堂と共同でアニメーション映画化する仕組みのもと。イルミネーションはほどよいユーモアで味付けしている。

『怪盗グルー』や『ミニオンズ』、『SING シング』シリーズなどのヒット作を輩出しただけあって、ギャグのテンポがいいのが身上。監督は「ティーン・タイタンズGO! トゥ・ザ・ムービー」のアーロン・ホーバスとマイケル・ジェレニック、脚本は『ミニオンズ フィーバー』のマシュー・フォーゲルが担当。ほどよいユーモアとキャラクターへの深い理解を前面に出してストーリーを構築している。

 ニューヨークで配管工として働く双子の兄弟マリオとルイージが、謎の土管を通じて魔法に満ちた世界に迷い込む。

 はなればなれになってしまった兄弟は、絆の力で世界の危機に立ち向かう。マリオとルイージに加え、ピーチ姫、クッパ、キノピオ、ドンキーコング、ヨッシーなど原作ゲームシリーズでおなじみのキャラクターが多数登場する。

 声の出演は『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』のクリス・プラット、『アムステルダム』アニャ・テイラー=ジョイ、『モンスター上司』のチャーリー・デイ、さらに『ドント・ウォーリー』のジャック・ブラックまで、豪華俳優陣をボイスキャストに迎えてコミカルかつスリリングに描き出している。日本語吹き替え版は宮野真守、志田有彩、畑仲佑など実力派が選りすぐられている。

 ほとんどゲームの世界でみたことある風景のなか、キャラクターたちが全身全霊で走りぬく。堅いことは言わずに、繰り広げられるアクション世界に身を置くのが正解だ。アメリカでは大ヒットを記録したらしい。まずは、任天堂は一安心というところだろう。

 時間があれば、何も考えずに楽しんでいられるので、お勧めか。