
8月29日(金)より、TOHOシネマズ日比谷、丸の内ピカデリー、109シネマズ プレミアム新宿、新宿バルト9ほか全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:https://www.bestkid-legends.jp/
アメリカ映画界はヒット作品を時代に呼応したかたちで復活させる。ヒット作品の骨格を踏襲しながら、現代的なアレンジを加える方式。スポーツ青春映画にこの方式を採用しているものが多い。
1984年に製作されてヒットを飛ばした『ベスト・キッド』(日本公開は1985年2月)はまさに王道の設定に準じて成功した好例と言える。ニュージャージーからカリフォルニアに引っ越した高校生、ダニエルは空手を習っている不良グループにいじめられることになるが、沖縄空手をたしなむミヤギ老人のコーチのもと、空手選手権に出場し勝利を得るまでが描かれる。『ロッキー』で負け犬の復活を感動的に描いたジョン・G・アヴィルドセンにとっては得意の展開とあって、大ヒットを記録。なかでもミヤギ老人に扮したノリユキ・パット・モリタは一躍、人気を博し、アカデミー助演男優賞にノミネートされるほどだった。
『ベスト・キッド』は当然のようにシリーズ化され、ダニエルを主人公にした作品が2本生み出され、ラルフ・マッチオはテレビシリーズ「コブラ会」でも同じ役を演じている。
時代は下って2010年、今度は舞台を北京に移してリメイクされることになった。アメリカから北京に転向した少年がカンフー・グループからのイジメにあい、アパートの管理人に手ほどきを受けてカンフー大会に出場する。ストーリーの流れは『ベスト・キッド』そのままだが、沖縄空手がカンフーに変わってしまっている。ジャッキー・チェンを管理人役にしたことからカンフーに変更したと思われたが、何となくタイトルにふさわしくない気がしたのは事実。
それから15年の歳月を経て本作の登場となる。ここではジャッキー・チェンのカンフーと沖縄空手の融合が図られる。
主人公は17歳の中国人少年リー。北京でカンフーを習っていたが、最愛の兄を事故で失い、心に傷を抱いたままニューヨークに移住することになる。だがニューヨークでも格闘トーナメントの王者に絡まれ、恨みを買うことになった。
家族や恋人を守るためにトーナメント出場を決意したリーのもとに、北京からカンフーの師匠ハンがやってくると同時に、ミヤギ老人の遺志を継いだダニエルがその技術のすべてを授け、トーナメントに臨むことになる。
1984年のオリジナル、2010年のリメイク、さらにテレビシリーズ「コブラ会」まで、すべての要素を網羅した作品ということになろうか。ミヤギ老人の沖縄空手はダニエルが受け継ぎ、カンフーはハンが主人公に教える設定。ふたつの武術を学んだ主人公に勝利が持たされることは言うまでもない。すべての要素を巧みに織り込んだ脚本は『ピーターラビット』のロブ・ライバー。監督はこれが劇場用映画のデビューとなるジョナサン・エントウィッスルが担当したが、オリジナルの雰囲気を保ちつつスピーディな語り口で押し通す。厳しい鍛錬の後、勝利を掴み取るのは、アクション・エンターテインメントの王道。この監督はその王道をさらりと踏破する。
出演者ではジャッキー・チェンは70歳の大台に達して、貫禄で勝負。ダニエル役のラルフ・マッチオも年齢を感じさせる容貌となっている。アクション、スタントを実際に披露するのは、6歳の時にアメリカに渡ったベン・ウォン。テレビシリーズで実力を培った25歳の注目株だ。未だ個性が十全に発揮されてはいないが、今後が楽しみの存在といいたくなる。
予定調和の楽しさを満喫させてくれる仕上がり。アメリカ娯楽映画の王道を継承する作品といっておきたい。