『クレイヴン・ザ・ハンター』は激しい戦いが売りの、シリアスなスーパーヒーロー・アクション!

『クレイヴン・ザ・ハンター』
12月13日(金)より、TOHOシネマズ日比谷、丸の内ピカデリー、109シネマズプレミアム新宿、新宿バルト9ほか全国の映画館で公開!
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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公式サイト:https://www.kraven-movie.jp/

 スパイダーマンの宿敵に焦点を当てる趣向は『ヴェノム』の成功が記憶に新しい。地球外生命体シンビオートがジャーナリストのエディ・ブロックに寄生して誕生したヴェノムは、エディとの掛け合いも面白く、三部作がいずれも多くの観客から絶賛され、ヒットを飾った。
 宿敵を紹介する最新作として登場したのが本作となる。いかにも凄みのあるヴィジュアルからも想像できるように、激しいアクションとシリアスなドラマ展開で勝負した仕上がりとなっている。
 コミックの世界でも人気の高いキャラクターを映画に定着させるにあたって、一級の脚本家が起用されている。『アイアンマン』や『メン・イン・ブラック:インターナショナル』などで知られるアート・マーカムとマット・ハロウェイ、加えて『イコライザー』シリーズのリチャード・ウェンクが参加して、スリリングなアクション満載にして、ドラマチックなストーリーを構築している。
 監督に起用されたのは『マージン・コール』や『オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~』などで高い演出力を賞賛されたJ・C・チャンダー。多彩な題材を巧みに映像化する演出力を高く評価されている。
 本作でも冒頭から最後まで問答無用。疾走感に溢れた映像でまさにアクションの綴れ織りを披露する。展開としては、家族の確執を正攻法の語り口でドラマ部分を盛り上げる。R15+というレイティングになったのは、描写のハードさに起因しているが、きびきびしたハードボイルドな雰囲気が映画の魅力を一層高めている。広大な自然を背景にしたスタント、スペクタクルを散りばめながら、ドラマ部分を築き上げる。この監督の腕前はさすがである。
 もちろん、本作の魅力はキャスティングにもある。個性に溢れた俳優たちの競演である。ヒーロー、クレイヴンには『キック・アス』や『ブレット・トレイン』など、話題作に次々出演し注目度の高いアーロン・テイラー=ジョンソンが抜擢されている。鍛え上げた肉体と精悍な顔立ちは迫力十分。一度見たら目に焼き付く。確かな演技力と相まって、まさに次代のスーパースターと呼ぶにふさわしい。
 さらに共演者も実力派揃いだ。クレイヴンの父親には『グラディエーター』でヒーローを演じてアカデミー賞主演男優賞に輝いたラッセル・クロウ。力の行使で権力に居座るキャラクターを演じている。
 ヒロインには『ウエスト・サイド・ストーリー』のアリアナ・デボーズ。加えて『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』のフレッド・ヘッキンジャー、『アムステルダム』のアレッサンドロ・ニヴォラなど、個性的な顔ぶれがそろっている。

 幼い時に母を亡くし、裏社会を牛耳る冷酷な父親に「力こそすべてだ」と教え込まれたセルゲイは、虚弱な弟をかばいながら、生きていた。
 だが、セルゲイは父親に狩猟に連れていかれたとき、巨大なライオンに襲われ、大怪我を負う。ライオンの血液がセルゲイの体内に入ったことで、目覚めたときには“百獣の王”の力を持つようになっていた。
 成長して、金儲けのために罪なき動物を狩る人間たちを倒すようになったセルゲイは“クレイヴン・ザ・ハンター”となるが、虚弱な弟を守りながら、父親と対峙するはめに陥る。悪を狩るクレイヴンはどのような行動を選ぶだろうか――。

 アーロン・テイラー=ジョンソンの凄みのある顔立ちはビルドアップされたダーク・ヒーローにふさわしい。これまでは脇で光を放つ存在だったが、本作では出ずっぱり、アクションの切れも半端ではない。アフリカ、シベリアをはじめ、世界各地を背景にスピーディで容赦のないアクションを展開する。
  ユーモアに逃げないで、とことんシリアス。伝統的な父と子の葛藤に根差し、「子は父を超えることでいっそう飛躍する」というセオリーを描き出す。
どこまでもアクションで惹きつける。本作が大ヒットして続編が生まれるのを願うばかりだ。