『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』はジェームズ・キャメロンが紡ぐ、圧巻にして空前絶後の映画体験!

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
12 月16日(金)より、全国劇場にてロードショー
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.
公式サイト:https://www.20thcenturystudios.jp/movies/avatar2

 ジェームズ・キャメロンがスクリーンに戻ってきた。観客の期待を超える映像体験を誇ってきた彼が、13年ぶりの新作でも今まで以上の興奮と感動をもたらしてくれる。

 そこにはキャメロンの強い意志が根底にある。観客を圧倒しねじ伏せたいという思いがダイナミックな描写と突き進む語り口に集約されている。見る者をグイグイと惹きこむ力が映像から放たれている。

 それは1981年の監督デビュー作『殺人肴フライングキラー』の頃から見受けられたもので『ターミネーター』、『エイリアン2』、『アビス』、『ターミネーター2』、『トゥルーライズ』と連なる監督作群でも、常に観客を驚かせつつ熱狂させる演出をみせていた。

 さらに1997年の『タイタニック』では、定番的なラブストーリーを驚異のスペクタクルで貫いて、世界中の観客を熱狂させた。演出の熱量の強さが画面の隅々にまで漲って有無を言わさない。まさに「力技」という言葉がぴったりくる感じだった。

 キャメロンはこの成功に力を得て、じっくりと時間をかけて製作。2009年に『アバター』を世に問う。ここで彼は3Ⅾフォーマットを採用。3Ⅾならではの没入感を活かし、神秘の惑星パンドラを舞台にした冒険ストーリーを構築してみせた。

 足の悪い主人公ジェイクは、惑星パンドラに住む種族と人間のDNAを組み合わせた肉体を意識で操るアバターにして活動できるようになるが、パンドラとともに生きる種族の娘ネイティリと恋に落ちたことから、侵略者である人間に対して疑問を抱き、ついには種族とともに反旗を翻す展開。

 ストーリーの図式はアメリカ先住民と白人侵略者の関係をほうふつとさせるが、キャメロンはイマジネーション豊かな惑星世界を完璧に構築。イマジネーションの源泉には日本のアニメーションの影響がみられるか。キャメロンは膨大な予算をかけて、思うがままに世界をつくりあげると同時に、自らの「力技」をさらに極めていった。まさにキャメロンしか成しえない映像を生み出したのだ。

『アバター』は世界的な超ヒットとなり、世界歴代興行収入ランキングのトップに躍り出た。

 しかしキャメロンは『アバター』を1本で終わらせるつもりはなかった。それから13年の歳月がかかったが、いよいよ本作がこの16日に一斉ロードショーとなる。この歳月の間に、映像技術はさらに進化し、キャメロンの望む映像の実現がより容易になった。脚本は『猿の惑星』3部作のリック・ジャッファと『ジュラシック・ワールド』のアマンダ・シルヴァーを従えて、自らも参画。題材的に一味、ユニークな物語世界の創造を期した。

 舞台は惑星パンドラ。森の部族の英雄となったジェイクは、ネイティリと家族となり生まれた子供たちも成長した。ジェイクは父親として厳しく育てようとするが、子供たちの気持ちが今ひとつ掴めないでいる。

 しかし、平和は人間たちの襲来で破られる。豊富な資源のある惑星を、人間は放ってはおかない。しかも人間はジェイクと同じように、アバターを駆使した部隊を送り込んだ。率いるのは前作で絶命した海兵隊大佐クオリッチ。自律型アバターに変貌した彼はジェイクに対する恨みだけで種族の殲滅を進めていた。

 ジェイクは人間たちの目的のひとつに、自分に対する恨みがあることを知り、森の部族を全滅させるわけにはいかないと、家族揃って神聖な森を守るべく部族を離れることを選択する。

 一家は遠く離れた地域にまで逃れ、海の一族に身を寄せる。初めて知る海、海中の冒険に触れ、ジェイクと家族は水と生活することを学んでいく。だが、人間の侵略は海の世界まで及んできた。彼らは否応もなく、人間たちと対峙することになる――。

 まこと3Ⅾ映像の没入感は凄い。本作は出来るだけ大画面での鑑賞をお勧めする。冒頭のパンドラの自然に満ちた映像から惹きこまれ、綿密につくりあげられた世界に感動する。その一方で、人間の宇宙船、兵器の形状に圧倒され、彼らの激しい攻撃ぶりに目を見張る。まことキャメロンは、自然賛美者でありつつもミリタリーや兵器おたくの貌があるので、映像の迫力は半端ではない。映像のパワーでとにかく押しまくってくる。

 さらに本作ではキャメロンの面目躍如たる、海が背景になる。『アビス』や『タイタニック』で極めた水中シーンをいっそう進化させ、水中での動き、水中生物とのふれあいなどを前面に押し出している。

 聞けば、俳優たちに水中でモーションキャプチャーを装着させて行動させる手法で、よりリアルで迫真力に富んだ映像を生み出したのだとか。水中でのこだわりがまたすばらしい。3時間を超える上映時間、いささかもだれることなく進行し、最後に深い余韻に包まれる。ジェームズ・キャメロンという存在があるからこそ、アメリカ映画は面白い。そう言っても過言ではない。

 出演者はサム・ワーシントン、ゾーイ・サルタナ、シガーニー・ウィーバー、スティーヴン・ラング、さらにケイト・ウィンスレットまで、いずれも異星人の扮装に変えられている。特にウィーバーは思春期の娘役とくるから、びっくりするはず。最近のCGは限りなく、元の貌に近くなっているから、そこらあたりも注目されたい。

 12月12日に発表されたゴールデン・グローヴ賞の作品賞と監督賞にノミネートされている。とにかく体験すると発見がある。この正月にお勧めしたい、ヒット間違いなしの大作である。