『映画モンスターハンター』は大人気のゲームを大画面に焼きつけた問答無用の超アクション!

『映画モンスターハンター』
3月26日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
配給:東宝=東和ピクチャーズ
©CONSTANTIN FILM Produktion Services GmbH © CONSTANTIN FILM Verleih GMbH
公式サイト:https://monsterhunter-movie.jp/

 人気テレビゲームの実写映画化はこれまで何度も試みられてきたが、成功した例はあまり多くない。最大のヒットは何といってもシリーズ化されて全6作がヒットを飾った『バイオハザード』だろうか。原作のイメージをくみ取りつつ、映画ならではの世界観で勝負した監督ポール・W・S・アンダーソンと主演のミラ・ジョヴォヴィッチのコラボレーションの成果。ともに熱烈なゲーム愛好家で後に夫婦となるおまけまでついた。

 このふたりが新たに挑んだゲームの映画化が本作となる。アンダーソンは2008年からこのゲームの虜になり、翌年にはゲームメーカーのカプコンに映画化を申し出ていたという。『バイオハザード』が一段落したことから、本格的にこのプロジェクトに臨むようになった。

 映像化されるのは「モンスターハンター:ワールド」。世界中で大絶賛されたゲームだが、アンダーソンにとっては設定を守れば、自由にストーリーを構築できるのが魅力的だった。長年、ゲームを愛してきた人間を自負する彼が持てるアイデアをすべて投入して脚本化。モンスターの世界に封じ込められてしまった現実世界の人間というコンセプトに重点を置き、モンスター世界は、現実世界に存在するような奇妙でユニークな景観の場所を発想して生み出した。とことんスケールの大きな効果を求めて、IMAX3Dに適した奥行きの深い映像に仕上げている。

 もちろん、ヒロインを務めるのはゲームの同志ミラ・ジョヴォヴィッチ。彼女なら厳しいアクションやスタントもこなすことができるとの判断だ。その要望に彼女はきっちりと応えている。

 本作ではさらに魅力的なキャストを用意している。ジョヴォヴィッチと互角に張り合うキャラクターにタイ出身『マッハ!』などで見る者を驚かせた本物の武闘派トニー・ジャー。ジョージア州アトランタ出身のラッパーで俳優としても『アントマン&ワスプ』で知られるティップ・“T.I.”・ハリス、メキシコからは『ターミネーター:ニュー・フェイト』のディエゴ・ボネータ、日本からは『ブレイブ‐群青戦記‐』の山崎紘菜が色を添え、『ヘルボーイ』でお馴染みのロン・パールマンが重要な役で登場する。

 作戦行動中に偵察小隊が砂漠で消息を絶った。アルテミス率いる特殊部隊はその捜索に当たっていたが、突然、激しい砂嵐に飲み込まれてしまう。

 砂嵐が去った後、彼らの眼前に現れたのは、同じ砂漠ながら未知なる世界。ありえないサイズの超巨大モンスターが襲い掛かってくる。近代兵器が通用しないモンスターの攻撃に、小隊は全滅寸前にまで追い込まれた。

 絶体絶命の危機を救ったのは、見慣れぬ装備を身にまとい、巨大な剣を携えた一人の男だった。彼はモンスターを狩るために戦う者だった。図らずもアルテミスは彼と行動し、この世界の仕組みを知っていく。

 それにしてもアルテミス達はなぜ、モンスターが暴れまわる世界にやって来たのか。元の世界に戻れるのか。

 すべての真実はやがて明らかになる。それまでは次々襲来する巨大モンスター達を倒し、生き残るしかない。 究極のサバイバルが開始された――。

 ポール・W・S・アンダーソンの語り口は無駄なところがなく、ひたすらヒロインのアルテミスの行動を追っていく。観客と同じく、まったく見知らぬ世界に驚きながら、それでも戦士の姿勢を貫くヒロインに、モンスターが襲い掛かる展開だ。彼女の行動を監視しながら、危機一髪で助けの手を差し伸べる謎のハンターと次第に絆が生まれてくる。この上なく余分なものを払い、モンスターとの戦いに集約させてみせたのはこのゲームの本質を理解している証。とても敵いそうにないモンスターを相手に、どこまでも肉弾戦を挑むスタイルは本当に手に汗を握る迫力である。

 監督にとっては本作だけで終わらせるつもりは毛頭ないようだ。本作のラストを見るとそれが明らかになる。さらなる謎が待ち受けていることを予感させて幕を引く。『バイオハザード』以上の壮大な世界をもはや構築しているのだろう。確かに異世界、強力なモンスターたちの形状以外は自在にストーリーを編むことができる、監督にとっては恰好の素材だ。

 どこまでもシンプル。一気呵成に疾走する。CGを縦横に駆使したモンスターたちの迫力を前面に押し出し、有無を言わさぬ展開など、ゲーム原作映画らしい装いで押し通す。欲張らず、芯だけ貫いて、やがてアンダーソンは独自の世界に導いて花を咲かせる作戦か。

 本作ではアルテミス役のジョヴォヴィッチとハンター役のトニー・ジャーが中心、ひたすら肉体駆使のアクションとスタントを披露する。殺陣やスタントに関しては定評のあるふたりが互いの技量をみせつけあう。これはこれで楽しい。敵は何せモンスターだけに、ふたりはヴィジュアル・インパクトでは負けるが、動きでは負けない。さすがの存在感だ。

 こういう派手なアメリカ製エンターテインメントもひさしぶりだ。「ただただ痛快な作品!」といっておきたい。