『ペテン師とサギ師 だまされてリビエラ』

 映画ですかぁ? 好きですよ。良く見に行きますよ、もちろん映画館に。
 って〜のも、ものすごく昔になんかの雑誌に誰かが書いてたんですが、女の子と共通の話題を探す時に「映画好きでしょ?」って言えば、大抵の女の子が「好きです」って答えてくれるから、そこから話題はひろがってって仲良くなれるんだよ、75%の女の子は映画が好きという統計がある。な〜んて誰かが(あくまで僕の記憶によればだけど)言ってたものだから、すべての行動原理が女の子と仲良くなることにある村上はいろんな女の子といろんな映画に行ったもんだ。
 なんてたって薄暗くて閉ざされた空間の中でしかも音も映像も外界とはかけ離れてるわけだから世界中のさまざまな物語に時間も空間も一瞬にして変わってふたりきりで飛び込んでいけるんだもの。
 はてさてその行動原理が正しかったかどうかって…(話はそこじゃなくて)今の女の子に「映画好きでしょ?」と聞いたところで共通の話題になるかどうかはものすごく疑問で、映画の上映本数多すぎるし上映期間も短いしジャンルは多岐にわたってるし、だから同じ映画を観てる確率は低いし、さらにゲームや漫画やネットやSNSに興味と時間と面白さは分散しちゃってて、村上の少なぁい調査数から判断するに映画観てる女子の率は多分過去最低だと思う。
 それはもちろん映画業界側にも責任があって本数あり過ぎだろ〜!
 ひとつひとつの映画の思い出が希薄化して来てるし共通話題にもしにくいわけだし。
 で、つまり取りも直さず女の子と仲良くなれる方法の狭窄化を意味してて、少子高齢化の一因であると思う。映画の本数が多すぎるから映画を見ないし子ども作れないのだよ。
 婚活だぁ地域活だぁってな合コン指導するよりは映画観てる率を上げりゃ〜そのうち日本も赤ちゃん増えて少子高齢化も介護問題も年金問題も無くなって経済もモリモリ元気になると思うのだが。

 さてそんなふうに(どんなふうだ)人生を豊かにしてくれる映画ではあるが、一本を選ぶとなるとなかなか難しい。確かに映画は先の読めない不安定な毎日を左右して豊かにしてくれるのは確かなのであるが、一本だけね〜? んん〜ん。
『ペテン師とサギ師 だまされてリビエラ』だな。
 南フランスの保養地リビエラで詐欺師のマイケル・ケインとスティーブ・マーティンが丁々発止の騙し合いを繰り広げて大笑いさせてくれるコメディ。その面白さはそんなに簡単にゃあ説明できないのだが、行ったことなかったコートダジュールの上流階級の雰囲気やらリゾートを楽しむということやら上質のユーモアやら男女関係のことやら何も知らなかった僕は大笑いしながらヨーロッパに死ぬほど憧れたのだった(今でもそうだけど)。
 で、僕は映画創る人を無条件にレスペクトしちゃうのだが(だってたくさんの人がすごく濃縮な時間を費やして創るんでしょ)その中で最もスゴいな〜って思うのはコメディを創るってことで、人を笑わせるって、何よりもクリエイティブだと思う。映画創るのはもちろん創造的ではあるけど、映画を観た後で観客の人生を笑いで再創造してくれるわけだし。
 で、今、この世知辛いグローバル社会の中、すべてがその場かぎりで先が読めなく安定した仕事などなく全世界を巻き込んだ熾烈な資本競争の時代において、一番必要なのは笑いだと思うんです。希望はまったく現実性のない話ではないってほんの少しだけでも勘違いさせてくれるもん。
『ペテン師とサギ師 だまされてリビエラ』オススメです(ベストワンに選ぶのはどうかとも思うけど。ま(語尾上がる))。

絵と文 : 村上良行:デザイナー

『ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ』
1988年・アメリカ作品
監督=フランク・オズ
出演=スティーヴ・マーティン マイケル・ケイン グレン・へドリー
 フランス、コート・ダジュールを舞台に、金持ちのマダムを相手にする中年サギ師と若手サギ師が、ひとりの女性からどちらが早く金を巻き上げるかという勝負を始めるが、思わぬ結末が待ち受けていた――。1964年の『寝室ものがたり』のリメイクで、2005年には本作をもとにしたブロードウェイ・ミュージカル「ペテン師と詐欺師」がつくられている。
サボテン・ブラザース+ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ(初回生産限定) [DVD] 2010/12/17発売 MGBLG-38785

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です