
12月12日(金)より丸の内ピカデリー、新宿バルト9、グランドシネマサンシャイン池袋ほか全国ロードショー
配給:クロックワークス
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公式サイト:https://klockworx-asia.com/shadowsedge
ジャッキー・チェンが香港映画のレジェンドであることは論を待たない。
1980年代の主演作の数々は、今見ても凄まじいアクション、スタントに彩られていた。本物の武術の使い手を輩出した香港映画において、ジャッキーは自ら危険なスタントに挑み、圧巻のアクション・シーンを生み出した。
1983年の『プロジェクトA』や1985年の『ポリス・ストーリー/香港国際警察』はその頂点といっても過言ではない。それぞれ時計台からの落下、ショッピングモールでの一大アクションは映画史に燦然と輝いている。
そのジャッキーも71歳を迎え、さすがに年齢には勝てなくなってきた。“ジャッキー・チェン50周年記念作”と銘打たれた2024年の『ライド・オン』では、かつてのジャッキー主演作のスタントが挿入され、かつての偉業にオマージュを捧げるつくりになっていた。
たったひとりでアクション、スタントの見せ場を維持するのはさすがに辛い。そろそろ次代に継承する役割になってきた。そう思いはじめた頃に、本作の登場である。ここで彼が演じるのは一線を引いた追跡のエキスパート。彼が若手警察官を率いて、神出鬼没のサイバー犯罪集団に戦いを挑む展開になる。
2007年に香港のヤウ・ナイホイが送り出した『天使の眼、野獣の街』をもとに、舞台をマカオに移し、ジャッキー・チェンに師としての見せ場を用意しながら、新たな追跡のストーリーとして生命を吹き込んだ。
脚本・監督のラリー・ヤンは『ライド・オン』を手掛けたこともあって、ジャッキーの扱いは手慣れたもの。本作ではユーモアは控えめにして、てきぱきしたタッチでサスペンスを盛り上げる。今や、都市を見守るために監視システムは日進月歩の進歩を遂げている。街中に張り巡らされたカメラの顔認識、ナンバープレート認識などを駆使して、犯罪を防ごうとする捜査法。これのチーフとして就任した老警官が、昔ながらのテクニック、捜査法をいかに活かすか。ジャッキー・チェンにしてはなかなかに新鮮な役どころといえる。
さらにラリー・ヤンは、ジャッキーに匹敵する怪物を犯罪集団のボス役に招いた。『プリズン・オン・ファイアー』(1987)などで人気を博し、ジャン=ジャック・アノーの『愛人/ラマン』では世界に美男ぶりを知らしめたレオン・カーフェイだ。『黒薔薇VS黒薔薇』のコミカルな演技、ジョニー・トーの『エレクション』などで押しも押されもしない存在感を披露した。
なによりも『天使の眼、野獣の街』では狡猾な犯人グループのリーダー役を好演している。同じリーダー役を、さらに貫禄を身につけたカーフェイが怪演する。ジャッキーと互角で張り合うパフォーマンスが最大の魅力だ。
ふたりの大物のもとで、『唐人街探偵 東京MISSION』のチャン・ツィフォン、テレビで人気を博すツーシャーや韓国の13人組ボーイズグループ、SEVENTEENのジュンなど、フレッシュな顔ぶれが躍動感溢れるアクションを披露してくれる。
マカオでサイバー犯罪集団が暗躍していた。
成す術のない警察は、一線を引いた追跡のプロ、黄徳忠を迎え入れる。彼は若き精鋭たちを率いて、長年、培った捜査術と最新テクノロジーを駆使して、犯罪者集団を絞り込んでいく。
浮かび上がったのは“影”と呼ばれる元暗殺者を首領にする犯罪集団。警察の追跡をかわす集団を追い、ついに“影”の居場所を特定するが、敵もさる者、最悪の罠が警察を待ち受けていた――。
マカオの街で縦横無尽、凄まじい追跡劇が繰り広げられる。きびきびしたアクションは、前半は犯罪者軍団が見せ場をつくり、ジュンが圧巻のテクニックを見せてくれる。後半は警察側の見せ場になるが、注目すべきは“影”に扮するレオン・カーフェイのパフォーマンスである。どこまでも不気味に相手を見透かし、どんな行動をするか予測がつかない。黄徳忠役のジャッキー・チェンも負けずに懸命に腹を探り合う。出会ってからクライマックスまでが一気呵成。カーフェイとジャッキーの演技に惹きこまれて、最後の最後まで予断を許さない。
ここでのジャッキーは控えめで、指導者としての分を守り、最後の最後まで自らの技を見せない。それだけに見応えもあるし、こういうジャッキーの活かし方もあると感心した次第。それにしてもレオン・カーフェイは凄い。ほかのキャラクターが霞んでしまうほどの演技にひたすら拍手を送りたくなる。
中国本土で公開されるや、爆発的ヒットを飾った作品。ひさびさにアクションの醍醐味を満喫させてくれる仕上がりだ。