
9月5日(金)よりTOHOシネマズ日比谷、109シネマズプレミアム新宿、新宿バルト9、新宿ピカデリーほか、全国ロードショー
配給:東宝東和
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公式サイト:https://hic-dragon-movie.jp/
アニメーションの実写化はつい最近も『リロ&スティッチ』の成功例を目の当たりにしたが、オリジナルのアニメーションの持つイマジネーション、スケールをうまく実写化したものは決して多くない。アニメーションでは省略できる部分を、実写化では具体的に映像化しなければならない。これが意外なほど難しいのだ。
本作はそうした難問をクリアし、さらに魅力を深化させた点において際立った仕上がりを誇っている。原作はクレシッダ・コーウェルの同名ベストセラー児童文学。コーウェルのイメージ世界の素晴らしさに魅せられたドリームワークス・アニメーションがいち早く映画化権を獲得。2010年に同名作を発表して以来、3本の劇場用アニメーションとテレビシリーズを製作して世界各地で評価された。
バイキングとドラゴンが共存する世界を背景に、バイキングには珍しい気弱で心優しい少年ヒックとドラゴンとの友情を紡ぐ展開。今回の実写化にあたっては、第1作アニメーションの脚本・監督を担ったディーン・デュボアが起用されている(奇しくも実写版で成功した『リロ&スティッチ』の監督クリス・サンダースは、このオリジナル・アニメーション版の共同監督・脚本家でもあり、本作の製作総指揮を引き受けている)。
キャスティングも実力派が選りすぐられている。『ブラックフォン』のメイソン・テムズが主人公のヒックを演じるのをはじめ、『300<スリー・ハンドレッド>』などでおなじみのジェラルド・バトラーがバイキングの長でヒックの父に扮する。さらに『ダンボ』のニコ・パーカー、『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』のニック・フロストなど、多彩な顔ぶれが作品の魅力をさらに高めている。
バイキングの一族が住むバーク島では、村を襲うドラゴンたちと人間との間で代々激しい戦いが繰り広げられていた。
族長の息子ヒックは、非力さと心優しさで軽んじられていたが、ある日、バイキングたちも恐れる伝説のドラゴン、ナイト・フューリーと運命的な出会いを果たす。
ヒックは傷ついたドラゴンを助け、トゥースと名付けて少しずつ友情を育んでいく。
トゥースとの絆が強まっていくなかで、ヒックはドラゴンと共生する道を探り始めるが、大きな試練が待ち受けていた――。
基本的なストーリーはオリジナルに準じている。ディーン・デュボアの語り口も分かりやすく、サクサク綴られる。人間とドラゴンの友情に関しても定番とばかりにさらっと処理していく。
では注力したのはどの部分か。それはヒックと友情を分かち合ったドラゴの背に乗って飛翔するシーンにある。まさにドラゴン・ライドの醍醐味をスクリーンで満喫させてくれるのだ。デュボアは『マトリックス』や『スパイダーマン』シリーズの驚異的な映像で愛られるビル・ホープを撮影監督に起用。ホープはIMAXカメラを採用し、ラージフォーマットの広い画角を活かしたダイナミズムで見る者を圧倒し尽くす。スピーディに変貌する景色、思わず手に汗を握るスリルが圧巻である。
もちろん、優しさが世界を救うというメッセージは定番ながら、説得力がある。ドラゴンも愛嬌のある顔立ちがキュートで、なるほど親近感がわく。これがアニメーションと同じようにシリーズ化されるかどうかは定かではないが、爽やかな余韻がまことに心地よい。
子供向きと馬鹿にしないで、一見をお勧めしたい。爽やかな気分に満たされて、スクリーンを後にできる逸品である。