『ザ・プレデター』は最強のエイリアンと人間の壮絶な戦いを描いた、シリーズ最新作!

『ザ・プレデター』
9月14日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
配給:20世紀フォックス映画
©©2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/the-predator/

「『エイリアン』シリーズのエイリアンと並んで知名度の高い異星人キャラクターは?」と問われれば、1987年の『シュワルツェネッガー/プレデター』に登場したハンター、プレデターを挙げたくなる。
 最初は主演のアーノルド・シュワルツェネッガーのタフなイメージに匹敵する存在として設定されたキャラクターだったが、高い跳躍力と強靭な肉体、なによりも特殊メーキャップの匠スタン・ウィンストンが生み出した強烈な容貌が人気を博し、シュワルツェネッガーを差し置いてシリーズ化されることになった。
 1990年の続編『プレデター2』に続き、2004年には2大異星人キャラクターが対決する番外編『エイリアンVS.プレデター』、さらに『AVP2 エイリアンVS.プレデター』までもが登場。2010年には題名通り多数のキャラクターが人間に襲い掛かる『プレデターズ』が製作され、シリーズが継続していることを知らしめた。
 本作は待望の最新版ということになる。シリーズを育ててきたプロデューサー、ジョン・デイヴィスにとっては久々の挑戦ということで、監督にシェーン・ブラックを起用した。ブラックは1987年の『リーサル・ウェポン』の脚本で注目され、『シュワルツェネッガー/プレデター』では俳優として参加している。デイヴィスはブラックに脚本にも携わってほしかったのだが、断られたという経緯がある。
 本作に至るまでに監督にも手を広げたブラックが満を持してのシリーズ参加。監督作『ドラキュリアン』で共同で脚本を書いたフレッド・デッカーとともに、再びコンビを組んでストーリーを構築していった。地球に襲来したプレデターに対する歴戦の強者という図式は、シリーズ第1作に敬意を表したものだろう。
 出演は『LOGAN/ローガン』のボイド・ホルブルックに『ワンダー 君は太陽』のジェイコブ・トレンブレイ。さらに『マジック・マイク』のオリヴィア・マンや『ブラックパンサー』のスターリング・K・ブラウン、『ムーンライト』のトレヴァンテ・ローズ、『トゥモローランドのキーガン=マイケル・キー、『ドリームキャッチャー』のトーマス・ジェーン、テレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローン」のアルフィー・アレンまで個性的な俳優が揃えられている。

 特殊部隊上がりの傭兵、クイン・マッケナはメキシコでギャング組織を狙撃する計画に参加していたが、ジャングルに墜落した宇宙船を目撃。異星人のマスクと装置を手に入れ、別れた妻と息子のローリーの私書箱留めの住所に送るが、クインは異星人の存在を隠蔽しようとする政府の秘密機関に捕らわれる。
 異星人は研究所に送り込まれる。研究所には進化生物学者のブラケット博士が招かれ、異星人は1987年よりたびたび飛来するプレデターであることを説明される。だが、プレデター検査中に覚醒し暴れだし、研究所は修羅場と化す。
 クインは、隠蔽政策で闇に葬られる憂き目となり、心を病んだ兵士たち“ルーニーズ”とともにバスで護送されていたが、機に乗じて兵士ともども脱走。研究所でプレデターに遭遇する。
 一方、私書箱に留め置かれるはずだった荷物が誤ってローリーに届き、彼がマスクと装置を作動させてしまっていた。プレデターはローリーのもとに向かい、それを知ったクインと“ルーニーズ”は、ブラケット博士とともにその後を追う。
 他の種のDNAを取り込んでパワーアップしたプレデターに人間たちは勝利を収めることができるのか――。

 プレデターと戦うのは戦士たちという第1作の設定を踏襲しつつ、シェーン・ブラックは兵士失格の烙印を押された“ルーニーズ”ひとりひとりのキャラクターを綴り、それぞれのスキルを披歴していく。心を病んだのは人間的である証拠であり、未だ戦士としての自負を胸に生きていることがプレデターとの戦いのなかに浮き彫りにされる仕組みだ。男の誇りの回復という王道的な展開を、ブラックとフレッド・デッカーは本作に採用している。
 しかも、そこにクインと息子のローリーとの絆の再生と織り込み、幅広い共感を狙っている。アクションとスペクタクルの連続のなかに、さりげなくエモーショナルな要素を散りばめる戦略だ。ブラックはホラーサスペンス的な要素よりもバトルアクションとしての迫力を前面に押し出し、パワフルに疾走してみせる。クライマックスのあっと驚く趣向など(詳細はみてのお楽しみだ)、快調の一語だ。

 出演者も好もしい。クイン役のボイド・ホルブルックのタフな印象も悪くないし、見た目以上のアクションで勝負するブラケット博士役のオリヴィア・マンもいい。なにより“ルーニーズ”の一員に扮したトレヴァンテ・ローズ、キーガン=マイケル・キー、トーマス・ジェーン、アルフィー・アレンなどが、戦う男への再生、互いの友情と誇りをくっきりと表現してみせる。男たちの熱い絆を盛り上げるのはシェーン・ブラックが得意とするところ。本作でもいかんなく男臭い個性を発揮している。

 痛快にして好感の持てるエンターテインメント。きびきびとしたアクションと男伊達が嬉しくなる仕上がりだ。