『ザ・ブライド!』はおなじみのキャラクターが弾け切って疾走する痛快ホラブル・ラヴストーリー!

『ザ・ブライド!』
4月3日(金)より、TOHOシネマズ日比谷、109シネマズプレミアム新宿、新宿バルト9、新宿ピカデリーhpか、全国ロードショー
配給:東和ピクチャーズ・東宝
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公式サイト:https://thebride-movie.jp

 名作ホラーと呼ばれるものに新たな息吹を加えるパターンはこれまでに何度か試みられルてきた。オリジナルの状況、常識に対して、時代の趨勢を加味する試みである。その試みが成功するケースはあまり多くはないが、うまくはまるととてつもない破壊力を持つ。

 本作はその好例と言えるだろう。メアリー・シェリーの生み出したモンスター・キャラクタ―、フランケンシュタインとその花嫁を独自の解釈で蘇らした逸品だ。『セクレタリー』や『ダークナイト』などで、骨のあるキャラクターに挑み続けたマギー・ギレンホールが自ら脚本を書き、監督も引き受けて完成させた。

 ギレンホールは以前からフランケンシュタインの花嫁が容貌のインパクトの割に発言していないことを不思議に思っていたそうで、彼女の思い、主義、主張にイメージしてストーリーを育んでいった。

 父親のスティーヴンが映画監督、母親のナオミ・フォナーも脚本家で監督の経験もある。自身もNetflix作品『ロースト・ド―ター』の監督に挑んだなかで、さらなる飛躍を求める機は熟した。本作の製作に手を挙げたのだ。

 映画化するにあたり、ギレンホールの望むキャスティングはとても豪華なものとなった。まず花嫁役は『ロスト・ドーター』で起用したジェシー・バックリー。彼女は第98回アカデミー賞にて『ハムネット』で主演女優賞を獲得している(ちなみに『ロスト・ドーター』でも助演女優賞にノミネートされている)。バックリーの技量を高く評価して、このパンクなヒロインに据えたことは間違いがない。

 蘇ってパンクなキャラクターとなったブライドが1930年代のアメリカ社会のなかでいかに成長していくか。ギレンホールは彼女の行動をエスカレートさせながら、その圧倒的な個性を画面に焼き付けていく。

 この圧倒的な迫力に伍すべく怪物に選ばれたのは『ダークナイト』をはじめとするバットマンでもおなじみのクリスチャン・ベール。どんな役でも全力で挑むベールはここではなじみのある扮装に孤独感を滲ませている。

 この軸となるふたりに加えて結集したのは豪華な顔ぶれ。ギレンホールの才能を信じて出演に応じた芸達者ばかりだ。『アメリカン・ビューティー』などでおなじみのアネット・ベニング、スペインの名花ペネロペ・クルス。さらにはマギーの実弟ジェイク・ギレンホール、マギーの夫のピーター・サースガードも顔を出す。

 1930年代のシカゴ。創造した博士の名前であるフランケンシュタインを名乗る怪物は、人間たちから忌み嫌われ、誰とも心を通わせることなく過ごしてきた。

 孤独に耐えきれなくなった怪物は、ユーフォロニウス博士に伴侶を創って欲しいと依頼する。

 博士は事故死した女性の遺体を墓から掘り起こし、フランケンシュタインの花嫁・ブライドとしてよみがえらせることに成功した。

 フランケンシュタインとブライドは追われる身となるが、ふたりの逃避行は警察を巻き込み、エスカレートして社会全体を揺るがす革命へと突き進んでいった――。

 怪物同士の逃亡劇は、ブライドの成長物語としての側面もある。ギレンホールはどこまでも弾けまくり、ふたりの逃亡をユーモアを交えつつ描き出す。異形の者たちの純真さが世の中の汚れを明らかにしていくスタイルだ。

 それにしてもギレンホールは凄い、ふたりの逃避を“ボニーとクライド”に見立て、クライマックスにはアステア、ロジャースよろしく、見事に破壊力のあるミュージカル・シーンを構築する。見る者はただただ予想の斜め上を行く展開に目を丸くするばかり。ギレンホールの才気とウィットに脱帽するばかりだ。

 怪物は社会を映し出す鑑となるのは世の習い。怪物役のクリスチャン・ベールはあくまでも孤独に悩む純な存在をさらりと演じれば、ブライド役のジェシー・バックリーが強烈に個性を焼き付ける。嘘や常識など問題にせずに、ひたすらパンクに生き続ける。ストレートに素直に世界に立ち向かっていく。その疾走する姿には拍手を送りたくなる。

ミュージカル・シーンから怪奇シーンまで,どこまでも痛快に疾走するマギー・ギレンホールに拍手を送りたい。こういう吹っ切れた痛快な映画はただただ嬉しくなる。