『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』は大ヒットシリーズの人気者ふたりが暴れまくる超アクション大作!

『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』
8月2日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国超拡大ロードショー
配給:東宝東和
©Universal Pictures
公式サイト:https://wildspeed-official.jp/

 

作品を送り出すごとにヒットを重ねる、マーベルやDCのコミック・ヒーローたちと互角に戦いうるのは、毎回、図抜けたアクションとスタントで勝負する『ワイルド・スピード』シリーズだ。最初はカー・アクションを核にしたシリーズとして始まり、本数を重ねるごとにスケールアップ。超ド級のアクション、スタントに趣向を凝らし、個性的な登場キャラクターが暴れまわる内容に変貌していった。いうなればタフなヒーロー、ヒロインたちの群像ドラマ。ヴィン・ディーゼル演じるドミニク・トレットを頭にいただくファミリーが豪華な顔ぶれに増殖しながら、ひたすら痛快アクションを披露する戦略。これが歓迎され、シリーズは右肩上がりのヒットを誇るようになった。

日米同時公開となる本作は、さしずめシリーズのスピンオフ的な位置づけといえばいいか。

シリーズにはあまた強力なキャラクターが居並ぶなか、本作では鋼の肉体を持った究極の武闘派ヒーローの元FBI捜査官ルーク・ホブスと、恨みを抱える仇役として登場しながら、いつのまにかファミリーとなった元MI6のデッカード・ショウがタッグを組む。ホブスを演じるドウェイン・ジョンソンとショウを演じるジェイソン・ステイサムの顔合わせはまさに並外れたアクションが約束されたようなものだ。

『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』や『ランペイジ 巨獣大乱闘』など痛快アクションならお任せのジョンソンと、近年『メカニック:ワールドミッション』や『MEG ザ・モンスター』などでアクションのフィールドを広げているステイサム。どちらも堂々と主役を張っているふたりが妍を競い、とことんアクション、スタント主導。ふたりの持ち味を活かした、とてつもない見せ場の連続が焼きつけられている

しかも、ふたりに立ち塞がる強敵を演じるのがテレビシリーズ「刑事ジョン・ルーサー」で注目され、『パシフィック・リム』や『ダークタワー』などでタフな個性を披露してきたイドリス・エルバとくるから応えられない。さらに『クィーン』から『RED/レッド』まで変幻自在の名女優ヘレン・ミレンが参画し、Netflixのドラマ「ザ・クラウン」で注目され『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』にも顔を出した美人女優ヴァネッサ・カービーが素敵なアクションを披露する。加えてカメオで人気スターがギャグをかますのだから至れり尽くせりだ。

監督は『ジョン・ウィック』や『デッドプール2』が評価されたデヴィッド・リーチ。スタント、スタント・コーディネーター、撮影第2班監督などを務めてから監督になっただけあって、とにかくアクション、スタントに燃える。本シリーズには打ってつけの存在といえる。『ワイルド・スピード×3 TOKYO DRIFT』からシリーズに参画しているクリス・モーガンと、『アイアンマン3』や『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』を手がけたドリュー・ピアースが脚本を担当。ふたりを活かすストーリーづくりに専念した。

ドウェイン・ジョンソンもジェイソン・ステイサムも製作に名を連ねるほど思い入れ、画面狭しと暴れまくる。ふたりの魅力だけでもヒットは約束されたようなものだ。

 

英国情報部MI6のチームは全人類を半分に減らす力を持った新型殺人ウィルスの奪還に成功するが、超人的な力を持った謎のテロ組織の男に襲われ、エージェントのハッティ以外は全滅。ハッティはとっさにウィルスを自らの肉体に打ち込んで逃走した。

事件を重く見たCIAはルーク・ホブスを英国に送り込む。一方MI6もデッカード・ショウを招集していた。ロンドンで顔を合したふたりは以前の因縁で犬猿の仲。互いにブチ切れて、一触即発となるが、テロ組織の攻撃を受けてロンドンでカーチェイスを繰り広げる破目になる。

敵を退けたふたりは姿を消したエージェントを確保するが、何と彼女はデッカードの妹、ハッティだった。兄と妹は色々なわだかまりがあったが、今は彼女の身体からウィルスを取り出すことが最優先。ウィルスが働きだすまでに時間はあまり残されていない。三人はウィルスの抽出装置のあるモスクワに向かうが、装置は壊れてしまう。

三人はわずかな希望を求めて、ホブスの故郷サモアに向かう。そこには何でも修理できるホブスの兄がいた。だがテロ組織もサモアに軍団を向かわせていた。自然に抱かれた楽園はすさまじい戦いの地に変貌する――!

 

ドウェイン・ジョンソンとジェイソン・ステイサムは肉弾相打つバトル・アクションのイメージ。その持ち味を活かしつつ、シリーズのファンに向けて市街のカーチェイス、ヘリ対トラックのバトル&チェイスなど、最初から最後まで息つく暇もなく、見せ場の連続で終始してみせる。

ストーリーはその分シンプルながら、ホブスの恋も入れ込んで、ドラマ部分も怠りなく、サーヴィスに徹している。一方のショウも母が登場し、兄妹の確執も散りばめ、葛藤があることを匂わせる。もっともシリーズの性質上、シリアスになることはない。デヴィッド・リーチは『デッドプール2』で会得した、ギャグやくすぐりを随所に散りばめながら、ただひたすら、痛快に疾走することに心を砕いている。シーンごとに見る者を驚かし、快哉を叫ばせるべく、見せ場の綴れ織り。まさに観客は何も考えずともスカッとする仕組み。分かり易く、派手に楽しませるのが身上だ。

もちろん、ドウェイン・ジョンソンの気は優しくて力持ち、家族思いのイメージはここでも存分に発揮されるし、クールなイメージのジェイソン・ステイサムは実は家族思いであることも明らかにされる。単なる暴れん坊ではないアピールはきっちりとなされる。

イドリス・エルバはふたりの強力コンビに伍する超人キャラクターに挑んでいる。こういうキャラクターも無難にこなすのがエルバの実力だ。むしろ、本作での収穫はハッティ・ショウに扮したヴァネッサ・カービーの魅力だ。セクシーな容姿に際立つアクション。まさにこのような問答無用アクションにはぴったりはまる。

 

夏にふさわしい、痛快編。ストーリーは今後も続きそうな幕の下ろし方だ。ホブスとショウのコンビは次もあるのか。シリーズの今後が興味深い