『ディスクロージャー・デイ』はスピルバーグの宇宙への思いが詰まった、一大娯楽大作!

『ディスクロージャー・デイ』
10月1日(木)より、TOHOシネマズ日本橋、TOHOシネマズ日比谷、丸の内ピカデリー、109シネマズプレミアム新宿、新宿バルト9ほか全国公開
配給:東宝東和
© Universal Studios. All Rights Reserved.
公式サイト:http://disclosureday.jp

 テレビ映画から出発して劇場公開もされた『激突!』で頭角を現し、『続・激突!/カージャック』に続いて『JAWS/ジョーズ』(1975)の世界的ヒットで、アメリカ映画の寵児となったスティーブン・スピルバーグ。以降、ヒットメイカーとして数々の作品をコンスタントに送り出してきた。

『シンドラーのリスト』(1993)のような感動作から、リアルな戦争映画の『プライベート・ライアン』(1998)、“インディ・ジョーンズ”シリーズのような明朗活劇大作、『ジュラシック・パーク』(1993)のような恐竜スペクタクルもあれば、伝記映画の『リンカーン』(2012)やミュージカルの『ウェスト・サイド・ストーリー』(2021)、自伝『フェイブルマンズ』(2022)などなど、およそジャンルの如何を問わず、興味の赴くままに手掛け、いずれもが称えられ、興行的にも実績を積み重ねているのだから恐れ入る。

 なかでも1977年の『未知との遭遇』(1977)、『E.T.』(1982)に連なる“異星人との遭遇”ものはスピルバーグのイノセントな感性と相まって素直に心に迫ってきた。

 子供の頃、ペルセウス流星群を見て「宇宙に秘められた大いなる未知」に思いを巡らせて以来、スピルバーグの脳裏に地球外生命体に対しての興味が始まったという。

「僕たちは宇宙で唯一の存在なのだろうか、もし誰かが答えを知っているのなら、なぜ明かさないのか?」

 長い映画人生活を続けてきたスピルバーグにとっての辿りついた答が本作ということになる。

 彼は原案を書き溜め、『宇宙戦争』などで仕事をしたデヴィッド・コープに託した。いわばスピルバーグのアイデアで構築された作品ということになる。さらに撮影にはヤヌス・カミンスキー。音楽はジョン・ウィリアムズとおなじみのスタッフが揃って、スピルバーグらしいゴージャスな陣容になっている。

 出演者もヴァラエティに富んでいる。『オッペンハイマー』のエミリー・ブラント、『チャレンジャーズ』のジョシュ・オコナーに加えて、『英国王のスピーチ』のコリン・ファース、『デッドマンズ・ワイヤー』のコールマン・ドミンゴ、『フッド:ザ・ビギニング』のイヴ・ヒューソンが顔を揃える。

 サイバー・セキュリティを生業にするダニエルは、アメリカ政府の秘密組織・ウォーデックス社から、地球外生命体の技術と、人類と異星人との接触に関する証拠を記したファイルを盗み出す。

 一方、お天気キャスターのマーガレットは、突然、神がかりのように地球外生命体のことばを話し始める。

 まったく見ず知らずだったふたりは、真相を懸命に隠そうとする組織から追われることになる。図らずも協力して真相に迫る彼らに驚くべき秘密が明らかになる――。

 さすがにスピルバーグは息つく間も与えずにアクションで押し通す。初期のイノセントな部分は控えめにして、地球外生命体を隠しておきたい組織と存在を明らかにしたい一派との攻防をスリリングに描き出す。冒頭からアクションとサスペンスで引きずり込んで、見る者の興味をいささかもそらさせない。やがてダニエルとマーガレットの不思議な縁が明らかになり、クライマックスの感動的な趣向まで、スピルバーグは縦横無尽。巧みな演出と趣向で見る者を最後の最後までひっぱっていく。

 なにより面白くつくろうとの意思が画面から溢れている。アクション、SFXを存分に網羅し、スピルバーグが子供時代から育んだ地球外生命体への思いが、現在の心境と合わさって、感動的に帰結している。匠としての完成度、老境にいる心境が映像に焼き付いているのだ。

 細部の展開や趣向は知らないままで鑑賞する方が驚きや感動が倍加される。スピルバーグは誠に大した監督である。