『ハート・オブ・ビースト』はブラッド・ピット主演、犬とともに大自然の脅威に立ち向かう感動作!

. 『ハート・オブ・ビースト』
9月25日(金)より、TOHOシネマズ日本橋、TOHOシネマズ日比谷、109シネマズプレミアム新宿、新宿バルト9、新宿ピカデリーほか、全世界同時公開
配給:東和ピクチャーズ・東宝
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公式サイト:https://heart-of-the-beast.jp/

 最近は日米で同時公開される作品が増えて映画興行もスピードが生命という風潮になってきた。これも情報伝達が瞬時に行われる時代なればこそ。少しでも新鮮な情報でありたいと願う気持ちからか。

 本作は「全世界同時公開」を謳っている。それだけ自信があるということなのだろう。ブラッド・ピット主演、犬との絆の物語、大自然を向こうにまわしてのサヴァイヴァルという3つのキィワードだけで注目度は抜群だ。

 本作がさらに食指を誘うのは監督がデヴィッド・エアーということだ。ブラッド・ピットとは『フューリー』でチームを組んでいるが、『トレーニング デイ』や『ワイルド・スピード』の脚本で注目され、2005年の『バッドタイム』で監督に転進。『エンド・オブ・ウォッチ』(2012)や『スーサイド・スクワッド』(2016)などを発表した。どこまでもリアルかつパワフルに疾走する演出ぶりは高く評価されている。警察や軍隊を背景にした「戦友」たちの男臭い世界を得意とする監督だ。

 本作もまた「戦友」の絆をテーマにしている。描かれるのは戦場で死線をさまよった退役兵ジェームズ・ベルモントと義足の元偵察犬オーディンの種を超えた絆である。脚本はキャメロン・アレクサンダー。製作総指揮には『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル、製作にはブラッド・ピットとエアー自身も名を連ねている。

 アラスカの広大な未開の地に、ジェームズはオーディンともに降り立つ。人に煩わされることなく、穏やかで静かな時間を送るつもりだった。

 だが、嵐が近づくことを知って、飛行艇を飛び立だせるが、ジェームズは発作に襲われ飛行艇は墜落する。

 我に返ったジェームズは飛行艇から懸命に最低限の荷物を引き出し、オーディンを看病。一緒に人里を目指して徒歩で進むが、未踏の地とあって自然、野獣が彼らに立ち塞がる。果たして帰り着くことができるのか――。

 冒頭から未開の原野、山林が圧倒的な映像で焼き付けられる。湖に飛行艇が降り立ち、ジェームズは湖岸にテントを張って気ままにテントで時間を過ごす。快適な時間が流れているように映るが、天候変わると自然は容赦なく牙を剥く。飛行艇を失ったひとりと一匹は天候、環境に翻弄されるばかりとなる。デヴィッド・エアーは無駄な部分を排して、ストレートにサヴァイヴァル劇を繰り広げる。画面いっぱいに広がる森林、人間を拒むかのような急流、飢えた狼、グリズリー。一瞬も気を抜くことのできない緊迫感を画面に漲らせてみせる。

 どんな状況になっても、絆は失われない。彼らの過去は悪夢となって映像化される。砂漠地帯の過酷な戦闘、激しく飛び交う銃弾のなかで、肉体も精神も傷つくことを端的に描きだしたうえで、ひとりと一匹の絆が強固なものであることが示される。セリフは少なく、行動で状況が示される。義足のシェパード、オーディンのつぶらな瞳が雄弁にセリフを物語り、ジェームズとの会話を設立させている。

 それにしてもジェームズを演じたブラッド・ピットは大車輪の活躍ぶりだ。ひたすら障害物を除去し、泳ぎ、丸太から急流に落ち、ボロボロになりながらも生き抜くパワーを発揮する。逞しくビルドアップした肉体で登場した理由がストーリーの進行とともに明らかになる仕掛けだ。黙々と生き抜くために全身全霊を傾けるヒロイズム。どんなセリフよりも雄弁である

 犬は最良の友であることが、感動的に綴られる。動物との絆は大切にしなければいけないと痛感する作品。世界同時公開の意味も作品を見ればわかる。