『オデュッセイア』はクリストファー・ノーランによる、圧倒的映像のギリシャ神話映像体験!

『オデュッセイア』
9月11日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷(9月4日よりIMAX先行上映あり)、丸の内ピカデリー(Dolby Cinema上映あり),
グランドシネマサンシャイン 池袋(9月4日よりIMAX先行上映あり)ほか全国ロードショー
配給;ビターズ・エンド ユニバーサル映画
©2026 UNIVERSAL STUDIOS photo by Melinda Sue Gordon©Universal Studios. All Rights Reserved.
公式サイト:https://odyssey-film.jp/

 2026年を代表する超大作の登場である。

 1作ごとにセンセーションを巻き起こすクリストファー・ノーランの新作というだけで説明は十分だろう。前作『オッペンハイマー』では原子爆弾の開発に世界で初めて成功した天才理論物理学者ロバート・オッペンハイマーの軌跡を圧倒的な映像で描き出し、世界中から絶賛されたのは記憶に新しい。

 まことノーランほど映像にこだわりをみせる存在も少ない。過去の作品を振り返ってみても『インセプション』や『インターステラー』、『ダンケルク』に『TENET テネット』と、いずれも仕掛けを凝らした映像で見る者を魅了してくれた。

 しかも、本作ではホメロスによる古代ギリシャの古典叙事詩に挑んだのだから、どのようにアプローチしたのか、完成前から話題を集めていた。ノーランは長編映画史上初となる全編IMAX撮影で映画化する挙に出た。製作費が莫大なものになるため、誰も挑まなかったのだが、ノーランにとっては20年越しの念願だった。『オッペンハイマー』の成功に力を得て、今回の採用になったという。

 西洋文学の原点とされる古代ギリシャの詩人ホメロスの叙事詩「オデュッセイア」を原作に選んだ。レイ・ハリーハウゼンの作品に敬意を抱くノーランはかつてないスケールでギリシャ神話に取り組んだとコメントしている。

 さらにモロッコ、ギリシャ、イタリア、アイルランド、スコットランド、アメリカの6か国に、物語にふさわしい場所を抽出してロケーションを敢行。ロケ地に巨大なセットを組む手法が採用された。CGをできるだけ使わない戦略が本物感を醸し出している。

 しかもノーラン作品の常として豪華なキャストも話題だ。主役のオデュッセウスには『インターステラー』にも顔を出していたマット・デイモン。妻のペネロペには同じく『インターステラー』に出演していたアン・ハサウェイ。息子のテレマコスには『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』をはじめスパイダーマン役で人気のトム・ホランド。

 共演陣は『TENET テネット』のロバート・パティンソン、『ドラマなふたり』のゼンデイヤをはじめ、『クワイエット・プレイス:DAY 1』のルピタ・ニョンゴ、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のシャーリーズ・セロン、『ギター弾きの恋』のサマンサ・モートンなどが顔を揃えている。

 木馬作戦でトロイア戦争を終結に導いたイケタの王オデュッセウスは10年続いた戦争の後、10年間消息を絶っていた。

 妻のペネロペと息子のテレマコスは帰還を信じていたが、王宮ではペネロペの求婚者たちが我が物顔にふるまっていた。

 オデュッセウスは故郷への帰還を目指していたが、神々の怒りを買ったことから、一つ目の巨人や魔女、荒れ狂う海の怪物などの試練が襲い掛かった。愛する家族のもとへ帰り着くため、オデュッセウスは過酷な運命に立ち向かっていく――。

『インターステラー』、『ダンケルク』、『TENET テネット』、『オッペンハイマー』でタッグを組んだ撮影のホイテ・ヴァン・ホイテマがノーランのイメージを壮大かつリアルに映像化している。さまざまな地域の圧倒的な自然を焼き付けつつ、古典的なストーリーを繰り広げる。知略に富んだ主人公のオデッセウスがトロイの木馬の成功がもたらす殺戮に胸が痛むあたりが今風か。巨人、魔女、渦潮などの試練に疲弊する姿も織り込みつつ、最後に大団円を迎えるあたり、世界的なヒットになったのも頷ける。

 豪華なキャストもさることながら、やはり大画面に映し出される映像の迫力が素晴らしい。あくまでエンターテインメントで帰結したノーランの戦略の勝利だろう。

 本作だけはIMAXの大画面で見ることがお勧めだ。昔、小さい頃にカーク・ダグラス主演の『ユリシーズ』を見たことを思い出した。ともあれノーランの次作が楽しみでならない。どんな世界をスクリーンに焼き付けてくれるだろうか。