『スーパーガール』は溌溂とした女性が際立つスーパー・ヒロイン・エンターテインメント!

『スーパーガール』
6月26日(金)より、TOHOシネマズ日本橋、TOHOシネマズ日比谷、丸の内ピカデリー、109シネマズプレミアム新宿、新宿バルト9、グランドシネマサンシャイン池袋ほか、日米同時公開
配給:東和ピクチャーズ・東宝
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公式サイト:https://supergirl-movie.jp/

 アメリカン・コミックの実写映画もこれだけ数が増えると、それぞれに趣向を凝らすようになる。とりわけ認知度においては群を抜く『スーパーマン』は昨年、ジェームズ・ガンの仕切りによる、新たなヴァージョンが始まり、これまでのイメージを塗り替えた。本作は新生DCユニバース第2弾ということになる。

 このキャラクターといわれて思い起こすのは1984年に日本でも公開された『スーパーガール』だ。ヘレン・スレーターをヒロインに抜擢したのはいいが、『ある日どこかで』が評判になったヤノット・シュワルツの演出が今ひとつで、評判にはならなかった。この轍を踏むまいと、ジェームズ・ガンはこれまでにない血の通ったス―パー・ヒロインの創造に乗り出した。

 まず脚本にはトム・キングのグラフィックノベル『Supergirl: Woman of Tomorrow』をもとに、女優の貌も持つアナ・ノゲイラに任せ、監督には『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』や『クルエラ』のクレイグ・ギレスピーに任せるという戦略に出た。ギレスピーはきれいごとではない女性像をこの上なく魅力的につくりあげる人。フェミニズムなど当然の時代を踏まえたノゲイラの脚本を巧みに映像化してみせる。

 ヒロインに抜擢されたのはオーストラリア出身のミリー・オールコック。凄まじい美女というわけでもないが親しみやすい顔立ち。優等生タイプではない自然体の容姿が好感を呼ぶ。『スーパーマン』でも顔を出していたので注意を惹かれた人もいただろう。どこまでも溌溂としたヒロインの登場である。

 故郷クリプトン星を失ったスーパーマンのいとこ、カーラ・ゾー=エルは地球に留まることもせずに、宇宙を彷徨い、気ままにやさぐれていた。

 ところが愛犬のクリプトが悪党集団の「ブリガンズ」のリーダー、クレムに毒を撃ち込まれてしまう。解毒剤が効くまでは3日間。

 クリプトを救うべく、「ブリガンズ」の後を追うカーラ・ゾー=エルに、クレムに両親を殺された少女ルーシーがつきまとう。

 果たしてクリプトに解毒剤は間に合うのか。強烈な戦いの幕が切って落とされる――。

 人間に平和に育てられたいとこのスーパーマンとは異なり、故郷の崩壊、両親の死という耐え難い体験をしたヒロインは、自分らしく生きることを求めて、銀河を彷徨う設定。酒を飲んだくれて、それでも素直さを失わないキャラクターは、これまでのアメリカン・コミックのキャラクターとは一味違う。クレイグ・ギレスピーはヒロインを自然体に紡ぎ、愛犬の生命を救うために懸命となる体験、そこで知り合う人々との行動を通して、カーラ・ゾー=エルの成長を描きだす。

 なによりミリー・オールコックの魅力を称えたくなる。容姿はスーパーヒロインにはふさわしくないいでたちで登場しながら、ストーリーの進行とともに、存在感がグイグイと増してくる。最後の勇姿を含め、このキャスティングが間違っていなかったことを実感させられる。

 荒涼とした異星を背景にした、どこか西部劇をほうふつとさせる展開。シンプルなストーリーをどこまでも疾走する語り口が心地よい。あくまでもヒロインの成長を軸に置いたところが好感を呼ぶ。

 共演陣も『君と歩く世界』のマティアス・スーナールツを悪玉に、イギリスの子役出身のイヴ・リドリーをルーシー役に抜擢。さらに『アクアマン』でおなじみのジェイソン・モモアも新たなキャラクターで客演する。もちろん、スーパーマンも登場するし、2時間足らずの上映時間はあっという間に過ぎ去る。

 あくまでもアメリカン・コミックの王道を護りつつ、時代にふさわしいスポットライトを投げかける。ジェームズ・ガンに拍手を送りつつ、今後も注目したい。