『マスターズ・オブ・ユニバース』は無邪気に楽しいヒーロー・エンターテインメント!

『マスターズ・オブ・ユニバース』
6月5日(金)よりTOHOシネマズ日本橋、TOHOシネマズ日比谷、109シネマズプレミアム新宿、新宿バルト、新宿ピカデリーほか、全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:https://masters-of-the-universe.jp/

 子供時代に熱中した玩具には忘れ難い思い出があるものだ。私のようなオールドタイマーは『禁断の惑星』に登場したロボット、ロビーが強烈に焼き付いたが、時代の流れとともに、さまざまなキャラクターが登場しては子供の心をつかんできた。

 本作に登場するマスターズ・オブ・ユニバースはバービー人形でおなじみのマテル社が1980年代初頭に登場させたフィギュアで、コミック、アニメーションなどで人気を盛り上げてきた。広大な世界観のもと、ひとりの青年が超絶なスーパーヒーロー、ヒーマンに変貌する姿を生み出し、絶大な人気を博したのだという。

『バービー』の映画版の世界的ヒットに気をよくしたマテル社が次なる成果を求めたか、男の子用フィギュアの実写映画化に勝負をかけた。1987年にはドルフ・ラングレン主演の「マスターズ 超空の覇者」として実写映画化もされたが、まったく装いも新たな登場となる。

 監督にあたったのはトラヴィス・ナイト。彼自身、少年時代にマスターズ・オブ・ナイトの世界に耽溺した記憶があるという。成長して映画界に入ってからも、ファンタジーやSF映画を得意とし、ストップモーション・アニメーションの『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』を手がけ、『トランスフォーマー』シリーズの『バンブルビー』を監督した。ナイト自身、アニメーション制作会社ライカ(LAIKA)のCEOとしての貌をもつ。

 脚本には『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』でもナイトと仕事をしたクリス・バトラー、加えて『エクスペンダブルズ』のデイヴ・キャラハム、『ザ・ロストシティ』アダム・ニーとアーロン・ニーが知恵を絞った。

 脚本家たちは、無邪気な青年が成長してヒーローになるまでのプロセスを明るく痛快に紡ぎ出す、あらゆる世代にアピールするストーリーに仕立てた。

 キャスティングも新鮮で豪華だ。主人公アダム/ヒーマン役は『赤と白とロイヤルブルー』や『アイデア・オブ・ユー 大人の愛が叶うまで』そして『ひつじ探偵団』などで注目を集めるニコラス・ガリツィン。ヒーマンとともに戦う女戦士ティーラ役には『リベンジ・スワップ』のカミラ・メンデス、さらに『プロミシング・ヤング・ウーマン』のアリソン・ブリーも顔を出す。

 悪役スケルター役には『ダラス・バイヤーズクラブ』でアカデミー助演男優賞に輝き『トロン:アレス』のジャレッド・レト、そしてヒーマンにとって父親的存在となる戦士マン・アット・アームズ役に『マンデラ 自由への長い道』や『パシフィック・リム』などで知られているベテラン、イドリス・エルバが起用されている

 惑星エターニアに王子として生まれながら、幼いころに戦火を逃れて、アダムは地球に送られた。

 15年後、成長したアダムは、伝説の剣“パワーソード”を見つけ出す。

 その力に導かれてついにエターニアへの帰還を果たしたアダムだったが、無残に破壊され、邪悪な魔術師スケルターに支配された故郷を目の当たりにする。

 エターニアと故郷の人々を救うべく、仲間たちの助けを借りて最強の戦士“ヒーマン”として覚醒したアダムは、スケルター率いる悪の軍団との壮絶な戦いへと身を投じていった――。

 トラヴィス・ナイトの語り口は平明にして痛快。くもりもなく英雄伝説譚をつくり上げる。アニメーションで培った明快な演出といえばいいか。どこまでも分かり易く英雄の軌跡を生み出していく。変に陰影のあるヒーローものよりも、無邪気で能天気。この世界観がいっそ新鮮だ。

 ましてアダム役のニコラス・ガリツィンの屈託のなさに好感を覚える。フィギュアそのものの明るさに拍手を送りたくなる。

 やたら陰にこもった映像よりも、無邪気に楽しんでいられる。こういうエンターテインメントがいいなぁ。