『グランド・イリュージョン/ダイヤモンド・ミッション』は理屈抜きの犯罪エンタ―テインメント!

『グランド・イリュージョン/ダイヤモンド・ミッション』
5月8日(金)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー、グランドシネマサンシャイン池袋ほか、全国ロードショー
配給:KADOKAWA
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公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/grandillusion/

 マジックやイリュージョンの匠は観客をいかに欺くかに心血を注ぐ。巧みに気をそらし、見るものの視線を誘導しながら、思うがままのショーに仕立て上げるのだ。ことばを変えれば、匠たちは騙しの達人といえなくもない。

 まさしく『グランド・イリュージョン』シリーズはここに着目し、痛快な犯罪エンターテインメントに仕立てた。そもそもはクリント・イーストウッドの『ルーキー』の脚本で注目されたボアズ・イェーキンと、エドワード・リコートが生み出したもので、『メン・イン・ブラック』などで知られるエド・ソロモンとともに脚本を書き上げ、第1作『グランド・イリュージョン』を2013年に完成させた。

 派手な意匠、騙しのテクニックに満ちた軽快さで映画は大ヒット。2016年には『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』が製作されることになった。スーパー・イリュージニスト・チーム「フォー・ホースメン」が卓抜したテクニックを駆使して巨悪に一泡吹かせる展開。メンバーも変わらない。監督は第1作のルイ・ルテリエからジョン・M‣チュウに変わったものの脚本はエド・ソロモン。イェーキンとリコートは「キャラクター創造」という名目に変わっていた。

 この第2作も世界的にヒットを重ねるが、本作第3弾が発表されるまでに9年の歳月を経ることになる。その間にはコロナ禍をはじめさまざまな障壁が待ち構えていた。それでも制作を諦めなかったことが幸いして本作が実現することになる。

 脚本も『トップガン マーヴェリック』のエリック・ウォーレン・シンガーが原案を書き、『ダーク・シャドウ』のセス・グレアム=スミス、『ハンガー・ゲーム0』のマイケル・レスリー、『デッドプール』のポール・ワーニックとレット・リースといった手練れたちが執筆。メガフォンは『ゾンビランド』や『ヴェノム』などのヒット作を誇るルーベン・フライシャー。CGに頼ることなく、リアルタイム・マジックにこだわり、軽快でスピーディな語り口に徹してみせる。

 抜群の技を披露するためにロサンゼルスのマジックの聖地「マジック・キャッスル」のイリュージニストの精鋭たちが協力している。

 リーダーのダニエルを演じるジェシー・アイゼンバーグをはじめ、ウディ・ハレルソン、デイヴ・フランコ、アイラ・フレッシャーといったオリジナルメンバーが再集結。さらにニュー・ホースメンとして『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』のジャスティス・スミス、『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』のドミニク・セッサ、『バービー』のアリアナ・グリーンブラットが抜擢されている。

 さらに『ゴーン・ガール』のロザムンド・パイク、名優モーガン・フリーマンまでキャスティングも豪華絢爛だ。

 イリュージョンを駆使して犯罪組織の不正な金を奪うスーパーイリュージョニスト集団「フォー・ホースメン」が10年ぶりに姿を現した。

 だがそれはフェイクだった。姿を現したダニエルは、ダイヤモンドビジネスで武器商人や犯罪者の資金洗浄を行うヴァンダーバーグ社を新たな標的と宣言する。社に伝わる史上最高価値のハートのダイヤを盗むミッションだ。

 新世代のマジシャンたちが軸となり、世界を股にかけた強奪劇が幕を開ける――。

 ストーリー全体に騙しが網羅されているので書き方が難しい。いっそ何の予備知識を持たずに見た方が楽しさが増すことになる。新世代のメンバーたちとの出会いなどはその好例だろう。ルーベン・フライシャーも些細なことは気にせずに、とにかく軽快、インパクト重視の方針で押し通す。なによりイリュージョンとマジックの数々が見るものを飽きさせない。フライシャーは見る者をミスリードさせながら、マジックのみごとな技をアピールしてみせる。

 もちろんジェシー・アイゼンバーグをはじめ出演者たちは、肩の力の抜けた演じぶり。シリーズの楽しさを存分に鰺わせてくれる。

 固いこと言わずに、能天気に楽しむには最適の作品。こういう派手なアメリカ製クライム・エンタテインメントは少なくなったなぁ。