『ジュマンジ/ネクスト・レベル』はゲームファンには堪えられない、問答無用のアクション・コメディ!

『ジュマンジ/ネクスト・レベル』
12月13日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:http://www.jumanji.jp/

 

日本の公開は2018年の4月だったが、『ジュマンジ ウエルカム・トゥ・ジャングル』は全米で2017年末に公開され熱狂的ヒットを記録した。ゲーム経験者なら思わずニヤリとさせられるアイデア――ゲームのなかのキャラクターとプレイヤーのギャップの面白さ――を前面に押し出し、とことんギャグに仕立てたのだからバカ受けしたのも当然。ゲーム・キャラクターを演じたドウェイン・ジョンソン、ジャック・ブラック、ケヴィン・ハート、カレン・ギランといった笑いの手練れたちが存分に個性を発揮して、笑いとアクションで綴ったエンターテインメントに仕上げた。

大ヒット作になったら続編ができるのは必定。日本公開時には続編の製作に入ったことが報じられていたが、早くもこの正月に日米同時公開で登場することになった。

もっとも続編というのは意外に難しい。第1作を超えるアイデアとストーリーがなければ続編をつくる意味がない。さらにアイデアを凝らし、スケールアップした世界が求められる。本作では砂漠、ジャングル、雪原とめまぐるしく変わる背景のなか、登場人物も増やしアクション主導の冒険世界を構築している。

第1作で優れたコメディ・センスを発揮したジェイク・カスダンが再び脚本と監督を担当。共同脚本には『ヴェノム』を手がけたスコット・ローゼンバーグとジェフ・ピンクナーのコンビが参画し、とことん見せ場本位。前作を凌駕するアクションで押し通している。

カスダンの溌溂とした語り口、面白さ最優先の演出は本作ではさらに拍車がかかっている。RPG的な物語世界な展開に惹きこまれ、次々と襲い来る敵、試練に耐え抜けば、クライマックスには飛行船での一大バトルが待ち受けている。まさに問答無用の疾走感だ。

出演は、以前からのドウェイン・ジョンソン、ジャック・ブラック、ケヴィン・ハート、カレン・ギランに加えて、『クレイジー・リッチ!』などで知られるラッパーのアウクワフィナが参加。さらに『ビッグ・フィッシュ』の名優ダニー・デヴィート、『リーサル・ウェポン』のダニー・グローヴァーが渋い演技を披露してくれる。

もちろん、第1作でプレイヤーを演じたアレックス・ウルフ、マディソン・アイズマン、サーダリウス・ブレイン、モーガン・ターナーの4人は、そのまま大学生になった設定で、今回も主役を務める。

 

冒険から2年の歳月が経ち、スペンサー、ベサニー、フリッジ、マーサの4人は大学に進み、バラバラになっていた。ひさしぶりに故郷で再会することになった4人だが、おたくのスペンサーが来ない。彼は大学で自信喪失し、密かに破壊されたジュマンジの部品を、祖父の家で修理をした――。

スペンサーが来ないのでベサニー、フリッジ、マーサの3人は彼の家に向かい、スペンサーが再びゲームの世界に入り込んだと気づく。ジュマンジに戻ってスペンサーを救出しようとしたとき、騒ぎを聞きつけたスペンサーの祖父エディと、彼の友人のマイロまでもが、ジュマンジに入ってしまった。

異世界に入り込み、まったく異なるキャラクターになって驚くエディとマイロをジュマンジの世界に慣れさせながら、彼らはスペンサーを救出しようとするが、ジュマンジの世界ははるかにパワーアップしていた……。

 

ゲーム・キャラクターは入り込んだプレイヤー次第でキャラクターが変わる面白さは本作でも共通。しかも、ゲームに吸い込まれた人数が増えているのがポイントだ。当然、ゲーム・キャラクターも増えるし、必ずしも人間キャラクターに入り込むわけではないことも本作で明らかになる。死んでも生き返る猶予は3回。そのなかでスペンサーを見つけ出し、ゲームの指令をクリアしなければならない。それもボス・キャラクター暴虐王ユルゲンから伝説のジュエルを奪還するという、ほぼ実現不可能なもの。これにプレイヤー全員が協力し合って挑むことになる。

砂漠で大挙して暴走する駝鳥、ジャングルの吊り橋で突如襲いかかってくるマンドリルの大群、人間の頭を丸呑みする大蛇など、驚きのシーンが随所に登場して、見る者の眼を釘付けにする。アトラクション・ムービーの本道を外れず、どこまでも見せ場主義。面白ければそれでよし精神で押し切る姿勢が潔い。

もちろんストーリーには冒険を通してプレイヤーが成長するテーマが織り込まれている。それはバラバラになった4人の友情の絆であり、スペンサーの祖父エディとマイロの友情の復活である。共通の体験を通して、それぞれがメンバー各々の思いもかけない一面を知り、絆を育む。ありがちとはいえど、爽やかな余韻が最後に待ち受けている。

監督のジェイク・カスダンは第1作の笑い主導から、幾分、アクション主導にシフトチェンジした印象。より3Ⅾの映像迫力を意識した演出を心がけている。めまぐるしく舞台が変わるなかでスペクタクル重視、とことん驚きに満ちた趣向を貫く。深いテーマ性とか、社会にリンクしたような設定とかは一切なし。冒険をともに体験する楽しさが身上だ。

 

出演者たち、特にゲーム・キャラクターを演じる俳優陣は、肩の力の抜けた演技で押し通す。プレイヤーが入れ替わるとキャラクターの豹変するあたりは本当に楽しい。ドウェイン・ジョンソン、ジャック・ブラック、ケヴィン・ハート、カレン・ギランの安定したなりきりに加え、今回はアウクワフィナが堂々たるコメディエンヌぶりを披露しているのも特筆に値する。

 

本作は映像の迫力を実感するうえで3ⅮのIMAXで鑑賞することをお勧めしたい。正月ぐらい何も考えずにいられる映画を見たいという向きには最適である。