『X-MEN ダーク・フェニックス』はシリーズのフィナーレとでも呼ぶべき、壮絶無比のアクション超大作!

『X-MEN ダーク・フェニックス』
6月21日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
配給:20世紀フォックス映画
©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/darkphoenix/

 マーベル・コミックの映画化作品のなかでも『X-MEN』シリーズは『アベンジャーズ』シリーズとは別なラインに属し、2000年の第1作『X-MEN』以来、常に高い人気を誇っている。
 超能力者ゆえに迫害されるヒーロー、ヒロインたちが織りなす群像劇であり、“人と異なること”の哀しみを押し出したストーリーは、単なる勧善懲悪ヒーロー譚で終わらせていない。本シリーズでウルヴァリンを演じたヒュー・ジャックマンがスターダムにのし上がったことでも話題になった。
 シリーズはプロフェッサーXをパトリック・スチュアート、マグニートーをイアン・マッケランという演技派を中心に、ウルヴァリン役のジャックマン、ストーム役のハリー・ベリーなど、豪華なキャスティングを誇っていた。これが大ヒットしたことは言うまでもない。またウルヴァリンを主人公にしたスピンオフ3作品や『デッドプール』2作品なども生み出し、シリーズは多様な広がりをみせた。
 さらに2011年、『X=MEN:ファースト・ジェネレーション』でストーリーが1960年代、若き日のプロフェッサーX とマグニートーの活躍に立ち返ったために、キャスティングも一新。プロフェッサーXを『ウォンテッド』のジェームズ・マカヴォイ、マグニートーを『イングロリアス・バスターズ』のマイケル・ファスベンダーという若手実力派が演じ、ミスティーク役を『世界にひとつのプレイブック』でアカデミー主演女優賞に輝いたジェニファー・ローレンス、ビースト役を『ジャックと天空の巨人』のニコラス・ホルトなど、豪華な布陣で勝負をかけた。2014年の『X=MEN:フューチャー&パスト』、2016年の『X=MEN:アポカリプス』を経て、集大成的な趣の本作に至る。
 本作は『X=MEN:アポカリプス』で活躍をみせたジーン・グレイにスポットを当てる。
 これは『MEN:ファイナル・ディシジョン』(2006)から脚本、プロデュース、あるいはその両方を担当してきたサイモン・キンバーグの念願の企画という。原作コミックの大ファンで、なかでも“ダーク・フェニックス”サーガに強く惹かれていたキンバーグは、脚本を書き上げたばかりか、監督も買って出た。テレビシリーズで1エピソードだけ演出の経験があるが、劇場用長編映画はこれが初めて。プロデュース経験は豊富な彼のこと、監督としてもテンポ早く、見せ場の連続で押し切った。細工は流々、仕上げを御覧じろといった思いだったのだろう。
 出演はジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ニコラス・ホルト、ジーン・グレイ役のソフィー・ターナー(テレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」で注目された)は変わらない。ここに『ゼロ・ダーク・サーティ』のジェシカ・チャスティンが加わるのだから凄い。演技に自信のある俳優たちが嬉々として、超能力キャラクターを熱演している。これも本シリーズの大きな魅力だ。

 X-MENは超能力を活かすことで人類と共存し、良好な関係を築いていた。プロフェッサーXは無理を強いても人類の貢献を優先させてきた。
 ある日、宇宙ミッション中の事故に遭ったNASAのメンバーを救うために出動したX-MENたちだったが、ミッション中にジーン・グレイは謎の放射能を浴びてしまう。ジーンのなかでもうひとつの人格ダーク・フェニックスが覚醒した。あらゆる超能力が強まると同時に暴走をはじめ、彼女自身も制御ができなくなる。
 プロフェッサーXや恋人のサイクロップスが助けようとするが、成す術がない。ついにX-MENメンバーに思わぬ悲劇が勃発し、ジーンは逃亡する。
 同じ頃、ジーンの能力を利用しようとする謎の女が現われる。ジーンはマグニートーのもとを訪れるが、彼もまた救うことができない。
 誰もより強く巨大なエネルギーを秘めたジーンを、プロフェッサーXをはじめとするX-MENメンバー、マグニートーは救うことができるだろうか――。

 自分たちの仲間が最大の脅威となったとき、X-MENメンバーはどのような行動をとるべきなのか。本作のテーマはここに集約されている。人間との共存を図ってきたプロフェッサーXにとってジーンは親代わりに育てた子だが、他の超能力者の安全を守るためには彼女が人間に牙を剥く前に事態を収拾しなければならない。人間の薄情さ、超能力者に対する差別は骨身に沁みているからだ。恋人のサイクロプスは何があっても彼女を救おうとする。こうしたそれぞれの思いをはらみながら、謎の女の出現でドラマは急転していく。キンバークはスピード重視、とことん見せ場主義で一気呵成の語り口を貫く。シリーズのファンにとっては思いもよらぬ悲劇を用意しつつ、グイグイとクライマックスに引っ張っていくのだ。
 さらにプロフェッサーXの人間とのつきあい方の失敗や、彼と一線を画し、人間に迎合せずに隠遁暮らしをするマグニートーの姿など、シリーズを見つめてきた人間にとっては考えさせられる趣向となっている。

 このシリーズが登場した頃は、競合するシリーズも多くなかったが、昨今はスーパーヒーロー映画の嵐状態。このシリーズも一区切りつける時期なのかもしれない。当然、この原作を映画化しないはずがないので、今後、シリーズとしてどんな装いで登場するのか楽しみではある。