『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』は全米で大ヒットを記録した痛快アトラクション・ムービー!

『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』
4月6日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:http://www.jumanji.jp/

 

アメリカ公開時に想像を超える4億ドルを超える興行収入を記録。世界興行収入に至っては9億4360万ドル超の大ヒットとなった作品の登場だ。

本作は不思議なボードゲームによって、次々と冒険に見舞われる1995年ファンタジー『ジュマンジ』をリ・イマジネーション。さらにアトラクション色を強くしている。とにかく分かりやすくスピーディ、痛快味を心がけ、見せ場の連続で押し通している。今やさまざまなゲームが世界中で楽しまれている状況となれば、ゲームのお約束満載の本作が大ヒットしたのも頷ける。

1982年にクリス・ヴァン・オールズバーグが発表した絵本をもとにした、オリジナルの『ジュマンジ』ではボードゲームの指示されることが現実化する趣向だったが、本作はテレビゲーム世界に入り込んでしまう設定。なによりゲーム世界では本人とかけ離れたアバター(ゲーム・キャラクター)になるというところが絶妙のアイデア。爆笑必至の展開が次々と用意されている。『スパイダーマン:ホームカミング』のクリス・マッケナの原案をもとに、同じく『スパイダーマン:ホームカミング』のエリック・ソマーズ、『ハイ・フィデリティ』のスコット・ローゼンバーグ、『ダークタワー』のジェフ・ピンクナーたちが知恵を絞り、脚本に名を連ねている。

監督に抜擢されたのは『バッド・ティーチャー』のジェイク・カスダン。父親が『白いドレスの女』や『ワイアット・アープ』を監督し、『レイダース/失われたアーク(聖櫃)』や『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』などの脚本で知られるローレンス・カスダンだから、アメリカ映画界のサラブレッドといえばいいか。とことんインパクト主義で俳優のキャラクターを活かしながら、アクションとギャグ本位にストーリーを綴っている。その徹底の仕方がみごとである。

出演者も練りこんである。『ワイルド・スピード ICE BREAK』などでおなじみのアクションスター、ドウェイン・ジョンソンを筆頭に、『スクール・オブ・ロック』のジャック・ブラック、『セントラル・インテリジェンス』のケヴィン・ハート、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のカレン・ギランがゲームのアバターを演じ、アレックス・ウルフ、マディソン・アイスマン、サーダリウス・ブレイン、モーガン・ターナーといった新進俳優が、ゲームに引き込まれる高校生に扮する。この他、ポップグループ“ジョナス・ブラザース”のニック・ジョナス、『アントマン』のボビー・カナヴェイルなど、個性派が揃っている。

 

1996年、ひとりの高校生が忽然と失踪する事件が起きる。現場にはテレビゲームのカセットが残されていた。

現在、気弱でゲームおたくのスペンサーは、アメリカンフットボールだけが得意な筋骨隆々のフリッジ、セルフィーが大好きなビッチのベサニー、シャイながり勉のマーサとともに地下の倉庫の掃除を命じられる。やる気もなく埃だらけの荷物を片付けていると、「ジュマンジ」というゲームが出てくる。

暇つぶしに、4人それぞれにアバターを決めてスタートさせたとたん、4人はゲームの世界に取り込まれてしまう。気がつくと、ジャングルのなかにいた。それもアバターのすがたになってしまっていた。

スペンサーはタフな容姿のブレイブストーン博士、フリッジはチビでおしゃべりな動物学者フィンバー。ベサニーは性別も変わって地図の専門家のオベロン教授で、マーサはグラマタスでセクシーな女戦士ラウンドハウスに変貌していた。

まもなくゲームの案内人が現われ、呪われたジュマンジ世界を救う使命が与えられる。現実世界に戻るためには、敵キャラの攻撃をかわしながら、奥地にあるジャガー像に戻さなければならない。与えられたライフは3回。4人は試行錯誤を繰り返しながら、キャラクターに慣れ、使命を果たすために難関に立ち向かう――。

 

アバターはスキルを持った存在ながら、基本は高校生というところがこの設定のミソ。タフなはずのブレイブストーン博士がビビりまくったり、オベロン教授がやたら色目を使ったりと、キャラクターに似合わぬ行動をとることで笑いを誘う戦略だ。こういう設定であれば、ブレイブストーン役のドウェイン・ジョンソン、オベロン教授役のジャック・ブラック、フィンバー役のケヴィン・ハート、ラウンドハウス役のカレン・ギランも思いっきり笑いをふりまける仕組み。恐怖の表情で隠れようとするジョンソンのコメディ演技、妙に女性っぽいブラック、口の減らないハートまで、それぞれが持ち味をいかんなく発揮している。

ジェイク・カスダンは理屈抜きにアトラクションの醍醐味を映像に焼きつけてみせる。ひたすらゲームの使命をクリアするというシンプルなストーリーのもと、ゲームの楽しさ、お約束はきちんと織り込んで、とことん面白さを追求している。このシンプルで潔い姿勢が作品の成功に結び付いた。聞けば、大ヒットに力を得て、続編の製作が同じキャスティングで決定したとか。大成功という他はない。カスダンの評価も格段に上がったはずだ。

 

この手のアトラクション・ムービーは4DXやMX4Dシステムの上映がよくハマる。ゲーム好きにも一見をお勧めしたい。何も考えずに、痛快なひと時を過ごしたいなら最適である。