『ジャスティス・リーグ』はストレートに楽しい、スーパーヒーロー集結アクション超大作!

『ジャスティス・リーグ』
11月23日(木・祝)より、丸の内ピカデリー、TOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー 3D/2D/IMAX
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/justiceleague/

 

最近はスーパーヒーロー映画が珍しくなくなった。それぞれ個性に富んだヒーローがさまざまな障壁を乗り越えて資質を謳いあげるという骨格は変わらないので、製作者サイドも差別化することに苦労しているようにみえる。

ならば、ヒーロー、ヒロインが一堂に介し、豪華に妍を競うのはどうかとばかりに、ヒーローが集結する作品が増えてきた。これならヒーローたちの個性を1本の作品で堪能することができる。

本作は、アメリカン・コミックの雄DCコミックのヒーロー、ヒロインが勢揃いする。さまざまなヒーローたちが同じ世界で活動する“DCエクステンデッド・ユニバース”の一環として生まれた作品である。今夏、『ワンダーウーマン』が公開されて多くのファンを感涙させたが、こんなに早くワンダーウーマンの勇姿が再び堪能できるのはファンにとっては応えられない趣向だ。

舞台となるのは“DCエクステンデッド・ユニバース”の『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』後の世界だ。

世界の平和を守っていたスーパーマン不在のなか、人知を超える脅威が世界を覆わんとする危機的状況が到来。生身の人間であるバットマンことブルース・ウェインがヒーローたちに結集を呼び掛ける。すでに顔を合わせているワンダーウーマンをはじめ、超高速で行動するフラッシュ、水陸両棲のアクアマン、身体の大部分を機械化されたサイボーグといった超人たちがそれぞれの個性を存分に披露する展開となる。

脚本は、“DCエクステンデッド・ユニバース”を仕切るザック・スナイダーと『アルゴ』のクリス・テリオの原案をもとに、テリオが脚色。監督はスナイダーが務めている。ただ、最終段階でスナイダーの娘が急逝し、急遽、『アベンジャーズ』で知られるジョス・ウェドンがバトンタッチする仕儀となった。ウェドンはスナイダーのプランに沿って、ポストプロダクションを行なったという(ウェドンの名は脚本家にクレジットされている)。

出演は『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』に引き続き、ブルース・ウェインをベン・アフレックが演じ、ワンダーウーマンにはガル・ガドット、フラッシュには『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のエズラ・ミラー。さらにアクアマンには『コナン・ザ・バーバリアン』のジェイソン・モモア、サイボーグはオフブロードウェイの舞台で注目されたレイ・フィッシャーが抜擢されている。

この他にも『メッセージ』のエイミー・アダムスをはじめ、ダイアン・レイン、ジェレミー・アイアンズ、コニー・ニールセン、J・K・シモンズなど芸達者が選ばれている。

 

スーパーマンがいなくなった世界では邪悪な存在が急速に力をつけていた。孤軍奮闘、犯罪を撲滅してきたバットマンだったが、事態は好転していなかった。今さらながらにスーパーマンの存在の大きさを思い知ったバットマンは、超人たちの大同団結を働きかける。

旧知のワンダーウーマンは参加を快諾し、おたくっぽいフラッシュも仲間に加わったものの、アイスランドまで出かけたアクアマンには断られるし、サイボークは心を開いてくれない。

一方、ワンダーウーマンの故郷にステッペンウルフ率いるパラデーモン軍団が襲い掛かる。並外れた強さを誇るステッペンウルフはアマゾネス軍団を壊滅させ、アマゾネスが守っていたマザーボックスを奪った。マザーボックスは3つあり、すべてを手にすると、ステッペンウルフはさらに強大な力を得て、地球は壊滅してしまう。

アクアマンの故郷アトランティスで守られていたふたつ目のマザーボックスも奪われてしまった。ことここに至ってアクアマンもサイボーグも参加、ジャスティス・リーグが結成されることになる。人間界にある3つ目のマザーボックスをめぐって、ステッペンウルフ相手に熾烈な戦いが繰り広げられることになった――。

 

個性に富んだ超人たちを、バットマンが勧誘して回る展開は『七人の侍』の仲間を集める趣向さながら、理屈抜きに楽しい。ワンダーウーマンの華麗なる殺陣、超高速のフラッシュの行動、水陸両棲で並外れたパワーを発揮するアクアマン、サイボーグは機械の肉体を縦横無尽に駆使する。唯一、生身の人間のバットマンがこうした超人たちを束ねる扇となる設定だ。超人と人間との違いは『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』におけるスーパーマンとバットマンの葛藤のテーマだったが、ここでもバットマンは超人たちの心情を理解すべく努力することになる。

全体を通して、ザック・スナイダー特有のトーンの暗さは控えめで、超人たちの力の競演をストレートに紡いだ印象。ジャスティス・リーグの面々の魅力を映像に焼きつけることに重点が置かれているのだ。もちろん、ジャスティス・リーグの名に恥じないメンバーも登場するのはいうまでもない。仲間集めから強大な敵との戦いに至る、シンプルなストーリーに徹してみせた。スナイダーとジョス・ウェドンのコラボレーションによって、DCコミックのヒーローたちの個性が際立つ仕上がりとなっている。

 

出演者では、ベン・アフレックの人間的なバットマンもいいが、やはりワンダーウーマンの華やかさが群を抜いている。『ワンダーウーマン』撮了後まもなく本作の撮影となったこともあって、演じるガル・ガドットもキャラクターになりきった感がある。凛とした美しさが画面から匂い立つ。さらにユーモアを一手に引き受けるエズラ・ミラーのひょうきんなフラッシュぶりもいい。

 

“DCエクステンデッド・ユニバース”のもとで、ヒーローたちは次にどんな活躍をみせるのか。楽しみに待ちたい。