『トランスフォーマー/最後の騎士王』はインパクト満点、怒涛の展開を誇る人気シリーズ第5弾!

『トランスフォーマー/最後の騎士王』
8月4日(金)より、TOHOシネマズ日本橋、新宿バルト9、新宿ピカデリーほか全国ローショー
配給:東和ピクチャーズ
©2017 Paramount Pictures. All Rights Reserved. HASBRO, TRANSFORMERS, and all related characters are trademarks of Hasbro. © 2017 Hasbro. All Rights Reserved.
公式サイト:http://www.tf-movie.jp/

 

日本発の変形ロボット玩具から生まれ、コミックで細やかな設定を生み出された後に実写映画化されて大ヒットを続ける“トランスフォーマー”シリーズ。その第5弾が3年ぶりの登場となる。すでにアメリカでは6月21日に公開されてヒット中、回を重ねるごとにスケールが大きくなり、3D映像の迫力をとことん発揮させている。まさに製作総指揮・監督を兼ねるマイケル・ベイの面目躍如たるところだ。

マイケル・ベイといえば、派手な超大作ならお任せのイメージ。CFの世界で注目され、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーに認められて『バッドボーイズ』の監督に抜擢されて以来、『ザ・ロック』、『アルマゲドン』、『パール・ハーバー』とヒット作を重ねた。とにかくヴィジュアル・インパクト優先、たとえありえないような展開でも映像の迫力とスピーディな語り口で押し切ってしまうのがマイケル・ベイ流。2007年に『トランスフォーマー』を手がけてからは破壊の痛快さを貫く手法に拍車がかかり、大ヒットを記録。シリーズ全作の製作総指揮と監督の座を手に入れた。

ベイは本作を製作するにあたり、なんと14人の脚本家を集めて新たなストーリーのアイデアを集めたという。最終的に『アイアンマン』のアート・マーカムとマット・ハロウェイのコンビに『ブラックホーク・ダウン』のケン・ノーランの3人が脚本にまとめあげた。

金属生命体のトランスフォーマーという存在が実は人類の歴史にも関与していて、アーサー王と円卓の騎士たちとも関係があったという驚くべき設定のもと、金属生命体狩りに乗り出した人類の捜索から逃れながら、バンブルビーをはじめとするトランスフォーマーと彼らと行動をともにするケイド・イェガーが、いかにして金属生命体の故郷サイバトロン星の地球攻撃を阻止していくかが綴られる。本作の注目点は、これまで人類の守護神を任じてきたリーダー、オプティマス・プライムが洗脳されて人類攻撃の先鋒となること。この強力な敵を前にして、どのような手段を講じるかがストーリーの軸となる。

もちろん、この設定を踏まえたうえで、描かれるのはアクションとスペクタクルの綴れ織り。破壊の痛快さをとことん映像に焼きつけている。これこそマイケル・ベイの独壇場だ。

加えて出演者に工夫がある。前作に続いてマーク・ウォールバーグを軸に、シリーズ3作まで出演していたジョシュ・デュアメルとジョン・タートゥーロが復活。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のローラ・ハドックに続いて、なんと『羊たちの沈黙』が忘れがたい名優アンソニー・ホプキンスが作品を引き締める。この名優の参加で本作はグーンと引き締まった。

 

人類の守護神オプティマス・プライムが宇宙に去って数年後、人類は“対トランスフォーマー部隊(TRF)”を組織し、地球上のトランスフォーマーを一掃しようとしていた。

ケート・イェガーはバンブルビーをはじめとするトランスフォーマーを匿いながら、事態の成り行きを見守っていたが、世界は荒廃の一途をたどっていた。

一方、故郷の星サイバトロンに戻ったオプティマス・プライムは“創造主”に拘束され、洗脳されてしまう。“創造主”はサイバトロン星が生き残るために、オプティマス・プライムに人類を滅ぼし、地球を奪うことを命じる。すでにサイバトロン星は地球に接近し、衝突までわずかの時間しか残されていなかった。

この未曾有の危機のなか、イェガーは英国の貴族エドマンド・バートン卿に招かれる。同じく招かれたオックスフォード大学のヴィヴィアン・ウェンブリーとともに、バートン卿からトランスフォーマーが人類の歴史のなかで秘かに活動していたことを知らされ、アーサー王伝説のなかに地球を救う鍵があることを掴むが、サイバトロンとの衝突は間近に迫っていた――。

 

巨大な金属生命体が画面いっぱいに暴れまわり、周囲を破壊しつくす映像はいつもながら痛快味満点。なるほど3D映像に最適である。マイケル・ベイもスピーディな展開に徹底し、ひと時も速度を緩めない。冒頭のアーサー王時代の戦いからはじまって、ストーンヘンジ周辺のクライマックスまで、次から次と見せ場が用意され、飽きさせないあたりがマイケル・ベイ。

たとえストーリーが綻んでも、勢いで押し切る。観客の見たいものを提供するサーヴィス精神が彼の身上だ。だから、彼の作品に突っ込みを入れるのは野暮というもの。驚きの映像を追い求めるインパクト主義を楽しむのが正解だ。とにかくめまぐるしく展開するストーリーを追っていけばいい。

 

なにより、本作ではアンソニー・ホプキンスが出演したことで、作品に奥行きが生まれた。謎めいた英国貴族を軽妙に演じ、場面をさらう。こんなに肩の力の抜けたホプキンスは珍しい。それでもトランスフォーマーたちに匹敵するインパクトを残しているのだから、大したものだ。

前作から人間の主演を務めるマーク・ウォールバーグは本当にさまざまなキャラクターで起用されている。最近は『バーニング・オーシャン』や『パトリオット・デイ』などの実録映画の主役が多いのは、彼がアメリカ人にとっては親近感を覚えるキャラクターなのだろうか。本作ではアクションスターとしてトランスフォーマー以上の活躍をみせてくれる。

 

何も考えずに画面を見つめていれば、凄まじい映像に惹きこまれる。映像インパクトを貫いた仕上がり。夏にはぴったりの作品だろう。